時々、私は考えてしまう。
ともこにとって私は忌むべき存在ではないのか、ともこは私を好いてなんかいないのではないか、と。

私はともこの意見も聞かず、ともこを私の部屋へと連れてきた。そうするのが互いを知るためには一番だと思ったからだ。ともこを他の奴らから守るためには一番だと思ったからだ。
ともこを鎖に縛り付けたのは、ともこが突然のことに怯え暴れでもしたら大変だと思ったからにすぎない。例えともこであろうとも、ともこの身体を傷付けることは許せない。
それももう心配は無いのだから、そろそろ外してやっても良いかもしれない。そうは思うが、私は今日もまたともこに枷を付ける。

ともこは私と共に在ることを望んでいる。私を愛している。そのはずだ。
だが、ともこの言葉を聞くことなく行動に移した私を恨んではいないだろうか。ともこを友人や家族から引き離した私を、憎んではいないだろうか。
そんなはずがないのに、考えてしまう。

仮にともこが私を憎み、恨み、厭うていたとしよう。
ならば何故ともこは、私に言葉をかける?私の言葉に従順に頷く?それは、私を愛しているからではないのか。私が触れても拒絶しないのは、私を受け入れているからではないのか。

そのはずだ。

ともこと私は同じ気持ちであるはずだ。
ならば、なぜともこはそれを言葉にしてくれない?裸も見合い、毎夜共に眠りにつく仲となった今、言葉を恥ずかしがる必要があるのだろうか。
私はこんなにもともこに焦がれ、それを何度も、幾度も口にしているというのに。
……いや、ともこは私の考え得る以上に恥ずかしがり屋なのだ。きっと、そうに違いない。もしくは言葉など無くとも伝わっていると思っているのだろう。
ああ、そうだ、勿論だ。ともこの気持ちはすべて私に伝わっている。ともこが私を愛しく思う気持ちは、全て。

本当か?

私は、ともこが時折ひどく歪ませた表情をする理由を知らない。
それは私が食事を用意した時だったり、トイレへと連れて行く時だったり、共に風呂へ入る時だったりによくあらわれる。ともこは唇を真一文字に引き結び、眉根を寄せ、瞳を震わせる。まるで嫌だと叫ぶのを必死に堪えているように。
それの最たるは、あの、私が吐き出した欲を舐め取らせた時だった。あの時のともこの表情は、いっそ泣いた方が良いのではないかというくらい、ひどいものだった。
……いや、まさか、そんなはずはない。私の見間違いだ。ともこが私に、そんな顔を向けるわけがない。

私はともこを愛している。ともこも私を愛している。
それこそが唯一で、真実だ。

私はそれを、疑いはしない。

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