ともこは私の考えていた通り、優しく、美しく、従順な女だった。私を拒むことなく、常に傍にいてくれる。私を理解してくれる。世界にひとつしかない、温かな光だ。私だけを照らす光だ。
きっと私を避けていたあの日のともこは、少し怯えていただけに違いない。私という人間を深く知らないが故に招いた誤解だ。それも、私と共に過ごし、私を知ったおかげで誤解は解けた。ともこは、私を愛し、私と共にいてくれる。
時折反抗も見せるが、ただ恥ずかしさから慌てているだけなのだろう。それもきっと、これから更に私と過ごしていれば無くなるはずだ。

しかし、私が用意した物を食べるときと食べない時があるのは何故なのだろう。ともこをここに連れてくる前にともこの好物は全て調べ、そればかりを出しているのに。
私の愛が受け入れられない?ならば食べるときは何なのだ。私の知らぬ間に、ともこの味覚や好物が変わったのだろうか。
だがあらかじめともこに好きな物を訊いて食事を用意した時も、口にしない時がある。それはきっとともこの言う通り、食欲が無かったのだろう。
しかしあまりにも食をとらない日が続くと、不安になる。……そうだ、ともこはここに初めてきた時、シチューを美味しそうに食べていた。ならば今夜の食事はシチューにしよう。無論、私の愛は存分に入れておく。


ともこは私を裏切らない。
ともこは私を拒絶しない。
ともこは私を受け入れる。

私はともこがいる世界にだけいられればそれでいい。きっと、ともこもそうであるはずだ。いや、そうに違いない。ともこには私だけが必要で、私にはともこだけが必要なんだ。私とともこは永劫共に居続ける運命なんだ。

だが、私は一つだけ決めている。
ともこがその口で直接私に、愛を誓ってくれるまではともこの唇に触れないと。ともこを無理矢理に抱くことはしないと。
欲望を抑えつけるのは苦しいが、それも時間の問題だ。

ともこは私を愛しているのだから。今は恥ずかしがって言葉にはしてくれないが、態度を見ればわかる。ともこは、私を愛している。
ともこが私に愛を囁いたその時、私はともこに誓いの口付けをしよう。永劫共に在ることを、ともこを幸せにすることを誓う、口付けを。
そしてともこが私を求めたとき、私とともこは一つとなるのだ。ともこを掻き抱き、その身体を余るとこなく目にし、触れ、ともこの胎内へと己の欲を吐き出す日を考えるだけで全身が熱くなる。ともこの艶やかな声を想像するだけで腹の奥に熱がこもる。
ともこが私の子を孕んだときが楽しみでならない。きっと幸福な家庭を育めるだろう。私とともこの子だ、可愛くないはずがない。

ああ、ともこ、ともこ。早く会いたい。大学などに行く時間が無駄に思えて仕方ない。
私はともこさえいれば良いというのに。しかし、将来ともこを何不自由なく養うためにはこの大学を出、職に就かなければならない。もどかしい。
ともこはきっと今頃、私の帰りを今かと待っていることだろう。一人寂しく枕を濡らしてはいないだろうか。私の帰りが遅いと心配してはいないだろうか。

嗚呼、帰ったらまず、ともこを強く抱き締めてやらなければ。

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