タカト編/主不在



「タカト…と、ミズキさんの関係はいったい何なんだ?」

タカトにそう問いかけるクラピカを、寝転がって漫画を読んでいたタカトはほんの少しめんどくさそうに見上げた。
俺も気になるけど、ミズキがタカトのことを好きで、タカトはミズキのことを恋愛感情では見てないくらいの認識であってると思う。
ただ、普通の友達や先輩後輩の関係でもなくて、もちろん仕事上の関係とかそういうんでもない、なんかよくわからない…絆?みたいなもんも感じるけど。

「別に、学校で同じ部活だっただけだよ」
「それにしてはなんというか…信頼し合っている、というのか、そういうものを感じるんだが…」

クラピカも俺と思ってることは一緒だったらしい。
それが気になるのは、きっとクラピカはミズキのことを好きなんだからだろう。
よく知んねーけど、恩人?らしいし。

「――、…クラピカには関係ない」

何かを言おうとしていったん口をつぐんだタカトは、それ以降クラピカが何を言っても首を振るだけだった。

あきらかに何かを隠してる。
それはミズキとタカトの関係に深く繋がるもの、なのか。
それでもなお食い下がるクラピカに、そんなに気になるならミズキにでも訊けよと投げやりに答え、タカトはまた漫画に視線を落とし、クラピカに背を向けた。
もう何も答えない、って態度。

それを見て、なんだかんだタカトもミズキのこと好きだよなあと苦笑いを浮かべる。
ゴンに目をやればそれを思ったのはゴンもみたいで、2人して苦笑し合った。

だってまるで、タカトはクラピカがミズキを気にかけてることに、嫉妬しているみたいなんだから。


++++



50時間が経ち、俺たちは小部屋を出て道の先を進んでいった。

転がってくる岩に追いかけられたり、槍が降ってきたり、ルートを間違えて元の場所に戻ってきてしまったり。
それらを何とか乗り越えて、やっと、俺たちは最後の分かれ道に辿り着くことが出来た。

「5人で行けるが長く困難な道、3人しか行けないが短く簡単な道…ねえ」

女の像からの説明を聞いて、ちらと壁につけられている2つの手枷を見やる。
5人の道ならば○、3人の道なら×、その場合は2人をあの手枷に繋ぐことになる。
手枷の横には、ご丁寧にもたくさんの武器が備え付けられていた。

簡単な道を選ぶなら、戦ってでも3人の枠を奪い取れってか。
それが、ゴン達じゃなかったら出来るんだけどな…。

「どうする?」
「俺は×を押すぜ。そしてここに残されるつもりもねえ」
「俺は○を押すよ。やっぱり、せっかくここまで来たんだから5人で通過したい」
「ミズキも、俺たちの内誰かが落ちたら悲しむだろうしなー」

つーかキレそう。
レオリオとゴンの意見を聞いた上で、キルアがでも残り1時間ちょっとしか無いことを告げる。
それもそうだ、45時間もかかる道なんて行ってる暇はない。

女の像を境にして2つに別れている扉をぼんやり眺めて、ふと、気が付いた。
やいのやいのと言い合っている3人の中で、1人むんと口を閉じて悩んでいる風のゴンに声をかける。

「なあ、これん中、壁一枚で繋がってんじゃねえの?」
「え?…あ!ほんとだ、5人の道から入って、壁を壊したらいいんだ!」
「「「…は?」」」

そうと分かったら早いほうがいい。
まだハッキリとは理解できてない様子のクラピカ達に壁に設置してある斧やらなんやらを押しつけて、○を押すよう伝える。
ゴンの説得で理解したらしく、全員が○を押し、5人の道が開いた。

こんくらいの壁なら、斧に周でオーラを纏わせればすぐに壊せる。
けど、それはなんだかこいつらの努力に水を差す気がしたから。

(のんびりやるか、30分くらいかければ大丈夫だろ)

ふう、とため息を吐いて、斧を壁に向けて振りかぶった。


++++


そして制限時間5分前にクリアした俺たちを、誰かが迎えてくれるわけでもなく。

俺たちが来たら絶対ミズキ来ると思ったんだけどなあ、と視線を動かしてミズキの姿を探す。
それは一緒に降りてきた4人も同じようで。

「あ、いた…けど」

1番にミズキの姿を見つけたキルアの視線を追えば、ヒソカとギタラクルの真ん中で、ヒソカの腰に腕を回してぐっすり眠っているミズキの姿があった。

…なにやってんだ、あいつ。






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