タカト先輩達からかかってきた電話を切って、携帯をポケットにしまう。

壁際に座っていたあたしとヒソカ、イルミの3人。
今はヒソカが数メートル離れた場所でしゃがみ込んでいた。あたしが殴った挙げ句蹴り飛ばしたからである。
いやだって先輩からの電話に勝手に出るとかまじ勘弁してくださいよあのクソ変態ピエロ。死ねばいいのに。

「ミズキは相変わらず手厳しいなあ」
「あんたが余計なことしなかったらあたしもそうならないんだけどね」

顔はいいんだから黙っとけばいいのに余計なことするからこうなるんだ。
まあ、ちょっとやりすぎた気もするけど、寝起きだったから仕方ないよね!うん。

「もう寝なくていいの?ミズキ」
「煙草吸えないしやることないし、もう一眠りするよ…なんか疲れた」
「だってヒソカ、もっかいトランプやるよ」

蹴られた背中をさすりながらこっちに戻ってきたヒソカに、イルミが地面に散らばっていたトランプをかき集めながら言う。

あたしが寝るための膝枕をどっちがやるか、また決めるらしい。
いやカバンあるからそれでいいし最悪今着てるポンチョ脱いでたためば枕代わりになるんだけど、2人が膝枕したいって寝させてくれないからもう諦めてお願いすることにした。
まあ、寝心地が悪いわけでもないし。
ちなみにさっきまではヒソカの膝枕で寝ていた。

しかしなんかもう本当に逆ハーレムもどきだよなあ。
めちゃくちゃ強い自信はあるけど、特別可愛いわけでもスタイルがいいわけでもない自分がこんなイケメン達に好かれているっていう状況ははっきり言ってこええ。
こええっつーか気持ち悪い。なんかよくわかんない力が働いてそうで。
異世界から来た影響でなんかそういうフェロモンでも出てんのかしら。やんなるわ。

「またボクの勝ち。さあミズキ、おいで」
「…すげえ行きたくねえ」
「でも寝心地は良かったでしょ?」
「まあそれは…否定できんが」

次はトランプじゃなくて別のゲームにしようと呟きながらヒソカを睨むイルミに苦笑しながら、渋々ヒソカの足に頭を乗せる。
さらりと髪をすくようにあたしの頭を撫でるヒソカの手は、人を殺すことに慣れている手とは思えないくらい優しくて。

「これでヒソカが気持ち悪くなかったらな…」

ぼそり、そう呟いて目を閉じた。


++++


「ミズキって寝付くの早いよね。さっきも寝てたのにもう寝ちゃった」

ミズキのほっぺを人差し指でふにふに触りながらイルミが不機嫌そうに言う。
ボクにトランプで負けたのがむかつくらしい。
まあ仕方ないよね、奇術師に不可能はないんだから。

癖なのか、寝息ひとつ立てずに眠るミズキはまるで死んでいるみたいだ。
イルミの手にもまったく反応を示さないし、ボクが頭や背中を撫でても全然動かない。
本当に死んでるんじゃないかと思っていたら、たまに何かを探すように手を動かしたりする。
イルミがなんとなくその手を握ってみたら、安心したみたいにへにゃりと顔をゆるませて、また動かなくなる。

「どんな夢を見てるんだろうねぇ」
「さあね」

枕にしているものに抱きつく癖があるらしいミズキが、ボクの腰に腕を回して幸せそうに眠る姿。
起きてるときもこれくらい可愛かったら、言うことなしなんだけどね。
まあ、反抗的なミズキも可愛いけど。






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