周りの様子を見に行っていたゴン達が帰ってきたとき、そこには一緒にいたはずのミズキがいなかった。
ミズキさんは？と訊くクラピカに対し、落ちちゃった、と苦笑する２人。
どうやら地面にある隠し扉を誤って踏んでしまい、そのまま落ちていったらしい。

多分、わざとだろうな。

理由は分からないけど、ミズキはこの世界やこの試験のことを熟知しているみたいだった。
だからきっと、何かを避けるためにわざと落ちていったんだと思う。

何を避けるため？
…もしかしたら、ゴン達の進むルートは、面倒ごとの多い道なのかもしれない。

「でね、隠し扉見つけたんだけど」
「５つもあんだよ。誰がどこ行くか決めよーぜ」

ゴンとキルアについて行った先には、確かに５つの隠し扉が一カ所に密集していた。
これだけ近いのなら５つとも同じ場所に繋がっていそうだけど、そう見えて別々の場所かもしれない。
もしくは、どれかが罠か。

結果的にはじゃんけんで扉を選ぶ順番を決め、５人でこの５つの扉の内どれかに入ることになった。
そして俺は、一番南側にあった扉を選ぶ。

「ここでいったんお別れだ。地上でまた会おうぜ」
「ああ」
「じゃあ…１、」
「２の」
「３！」

軽く跳んで、隠し扉を踏む。
くるりと回転した扉は俺が通ったすぐ後にがしゃんとロックされて、それを視界の端でとらえながら着地した。
ミズキがいたら、１０点満点って言ってくれそうな着地だったと思う。

「！？」
「…そんなこったろーと思ったけど」

案の定、俺の落ちた部屋にはゴン、キルア、クラピカ、レオリオの４人が共に着地していて。
みんなと目を合わせ、なんとも言えない笑みを浮かべた。

「多数決の道、か」
「俺たちなら大丈夫だよ！」

ニカッと笑うゴンは年相応で微笑ましい。

「っし、じゃあ行くか」

各々、手首にタイマーをつける。
その瞬間岩と岩が擦れる音を鳴らしながら開いた扉に、ハイテクだなあなんて口笛を鳴らしながら、俺たちはその扉をくぐったのだった。

１つ目の設問は、このドアを開けるか否か。
開けなきゃ進めねーだろがとすぐにタイマーについていた○ボタンを押す。
その場は満場一致で、開けるだった。

そして扉を開けてすぐに２つ目、右に進むか左に行くか。
俺は右派だな、とまた○を押した。
結果は３対２で、右。

「何でだよ、普通こういうときは左だろ？つーか俺は左じゃねーとなんか落ち着かねーんだよ」
「俺は右のが落ち着くけどなあ」

レオリオの言葉に対し、クラピカが行動学がどうちゃらと説明を始める。
こいつ俺より年下なのになんか頭いいよな、高校生レベルじゃねーだろ…。
クラピカとキルアの説明で、若干拗ねつつも納得したらしいレオリオの肩を軽く叩いてやりながら、右へ歩を進める。

少し歩いたその先には、少し間違えたら地の底へと落ちてしまいそうな、闘技場のようなものがあった。




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