「300番、ミズキ!3次試験通過第二号、所要時間6時間18分!」

上の方から響いてくるアナウンスと、目の前で「ボクも今さっきついたところなんだ」と笑うヒソカの声を聞きながら、あたしは溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように声を出した。

「1分差じゃねーか!」

扉の向こうからヒソカがゴールしたときのアナウンス聞こえてきたわ!

「2人きりだね、ミズキ」
「あーそうだね」
「ナニしようか?」
「なんもしねーよ」

適当な場所に座り、おいでおいでをするヒソカにしっしっと手を払ってから、きょろきょろと周囲を見渡す。
ご丁寧にも、トイレとシャワールームがあった。これはありがたい。

「あたしシャワー浴びてくるから」
「その火傷は大丈夫なのかい?」
「、」

さっきの炎でいくらか治したけど、完全には治らなかった火傷の痕。
まあ何日かしたら自然に治るだろうと思って放置してる。
今はもう、痛くもない。たまに妙な熱さを感じはするけども。

「別に平気。あんたの肩のが痛そうだけど?」

あたしの言葉に目をぱちくりさせて、ヒソカはにんまぁり、イイ笑顔を浮かべた。

「心配してくれるなら、一緒にシャワーを浴びてく」
「うっせえ肩抉れろ」

心配したわけではないけど、心配するだけ無駄だった。なんかすっげえ損した気がする。
ミズキは相変わらず酷いなあと笑うヒソカの声をバックに、あたしはシャワーを浴びにその場を去ったわけである。

で、帰ってきたらイルミが増えていた。

「ミズキ」

わお、怒ってらっしゃる。
そういえばあたし飛行船の中でイルミのことのしちゃったんだっけ。めんどかったから。
その後に2人きりになる機会もないだろうと思って忘れてたけど、まさか3次試験通過がこんな早いとは思わなかった。

「や、やあイルミ、久しぶり」
「久しぶり、じゃない」
「…すんません」

何であたしこんな怖い顔で見られなきゃいけないの、いやあたしが悪いんだけど。
真顔のイルミドアップはこええよ。

「ミズキ、試験終わったら俺ん家来てよ」
「え、やだ」
「来ないとキルにひどいことして無理矢理帰らすよ」
「それはないわ」
「じゃあ来て」

イルミのあまりのオーラ放出っぷりに、ちらりと、ヒソカに助けを求めてみたら。

「ミズキが行くならボクもイルミの家に行こうかな」

なんてのんきにトランプタワーを作りながら独り言を喋っていた。
どっちかっつーと乗り気じゃねーかふざけんな。
試験終わったら旅団とこに帰る予定なんだよ。帰らないとシャルが多分怖くなるんだよ。

「キルが傷ついてもいいの?」
「…わかったよ行くよ行けばいいんだろちくしょう!」

その瞬間の嬉しさマックスなイルミのオーラを見てあたしはものすごく先輩に会いたくなりました。まる。






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