３次試験開始直後。

「うおわっ」
「ミズキ！？」
「ちょっおい！」

ガタンと抜けた自分の足下。
苦笑を浮かべ手を振りながら落ちていくあたしを、ゴンとキルアは焦ったような声音で見送ってくれた。

よし、計画通り。


すたっと地面に着地すれば、少しの間をおいて室内に明かりが灯る。
５畳ほどの広さの部屋は出口が１つあるだけ。
そこにあるハンター文字をがんばって解読して、やっとここが「一の道」であるらしいことがわかった。
一の道。どういうこっちゃとさらにその下にある説明文を読んでいく。
どうやらご親切にアナウンスしてくれるつもりは毛頭無いらしい。

曰く、１人で一本道をひたすら歩いていくだけの道。"何の問題もなければ"５時間ほどでゴールにたどり着く。
何の問題もなければ、ねえ…。

１人ぼっちなのに手錠で両手の自由を奪われるらしい。めんどくさい。
しかたなく自分で自分に手錠をかければ、カチッという音と共に出口が開かれた。

「…行くかあ」

１人がベストとか言ったけどやっぱあれだ、なんかつまらん。


＋＋＋＋


しばらくの間は本当にひたすら歩くだけだった。
ひま、すんごいひま。やばいくらいひま。
せめて囚人とかとバトルするとか、トラップがいっぱい仕掛けてあるとか、そういうのあるべきじゃない？なにこのラッキールート。
こんなとこで運使いたくないよ！

「うわっ」

なんて考えてたら、唐突にばたん！と前方の壁の一部が倒れた。

こんなどっきりはいらない。一瞬どきーんと跳ねた心臓を落ち着かせながら、何かが出てくるのだろうかと警戒を含めて凝をする。
瞬間、赤いオーラの固まりのようなものが、あたし目掛けて飛んできた。

…炎？

オーラの固まりを避ければ今度はナイフに矢に銃弾、いろんなものが飛んでくる。
それらは念とは関係ないもののようだったから、すべて練ではじき落とした。銃弾は、ほんの少しだけ痛かった。

「お前がこのルートの犠牲者か」
「、誰」
「俺らは囚人だよー」
「このルートには実に１０００人に及ぶ囚人が至る所に隠れている。"運良く誰にも会わなければ"５時間でゴールにたどり着く道だが」
「"運悪く誰かに会ってしまった"受験生は、みーんな死んじゃう道だねえ」

お、おお…多いな。
１０００人て、ゲームぐらいでしかやったことないよ１０００人斬り。
んであれでしょ、１０００人斬り達成したら誰かが「貴女こそ真の三国無双！」って言ってくれるんでしょ？ここ三国関係ないけど。

でもまあ、最初にオーラの塊ぶっ飛ばしてきたヤツ以外、一般人みたいだし？

「６時間よりは早くゴールしたいなあ」

ヒソカが確かそんくらいだったから。

今ここにいるのは１０人ちょっと。狭い通路に屈強な男がぞろぞろとご苦労様なことで。
手錠の所為で少しもたつきながらも、しゅっと抜いたのはノブナガにもらった刀。
それに周でオーラを纏わせて、軽く振る。
多分、念が使えるやつをのぞいて５分はかかんないかな、うん。

「そんななまくら刀で俺らを倒せると思ったら大間違いだぜ！」
「なまくら刀かどうかは、やってみないとわかんねーだろがっ」




← →
戻