次に目を覚ましたのはまだまだ日も昇ってない早朝の5時頃で、そのときにはあたしの服の裾を握ってぐっすり眠っているようだったキルアの手をやんわりとほどいてから、あたしはベッドから抜け出した。

ゴンはまだ遊んでるか、もう疲れて寝てしまったくらいかな。
なんとなくゴンの気配を追いながら歩いていく。
そこには鉄アレイで筋トレをしてるネテロ会長と、かけられたタオルケットの下でぐーすか眠っているゴンの姿があった。

「…お疲れさまですね、会長さん」
「ほう、お前さんは…ミズキ、じゃったかの?」

あたしのこと知ってんのか。
ネテロ会長はあたしに気付くと鉄アレイをおろして、こっちに来るようにと手招いた。
おとなしくそれに従ってネテロ会長のもとへと行く。
近くで見た彼は思っていたよりも小さく、そして大きかった。

「ゴン達とのゲームは楽しかったですか?」
「そうじゃのう、ちょいとばかし本気になってしまったわ」
「嘘ばっかり」

この人が本気になったらどんだけなんだよと、蟻編を思い出しながら苦笑を浮かべる。
ほっほ、と好々爺よろしく笑うネテロ会長は鉄アレイの隣に落ちていたボールを拾い上げると、挑戦的な笑みであたしに問いかけた。

「お嬢さんもやってみるかの?わしからボールを奪うことができたらハンターライセンスをやろうぞ」

その問いに一瞬きょとん、として、あたしもにやりと似たような笑みを返す。
そしてその笑みを消して、ふわりと、浮かべられる限りで最高の柔らかい微笑みを、ネテロ会長へと向けた。

「じゃあ、ハンターライセンス、いただきますね」

ぽん、ぽん、とボールを地面につきながら。

ネテロ会長は目を大きく見開いて、けどすぐに楽しそうに笑い声をあげた。

「お前さん強いのう」
「ええまあ、常人よりは」

あたしの言葉にネテロ会長はちょっとだけ眉を寄せたけど、それ以上は何も言わず。
これであたしのハンター試験合格は決まった。つまりこれ以降はフリー。

「あ、でも試験の続きは受けますんで。あたしが合格したことバラさないでくださいね」
「わかっておる」
「ありがとうございます」

ぱしっ、あたしが投げたボールを受け取ったネテロ会長にまたにこりと笑みを向け、あたしはゴンを抱きかかえてその場を去る。
通路にあるベンチにゴンを寝かせ、ゴンの頭もとにあたしも腰を下ろした。


3次試験がどうなるかはルートによる。
世の中にある小説のパターンだと、ヒソカかイルミと2人で手錠に繋がれるのが1番多い気がするけど。
主人公組の多数決の道には行きたくない。2日近くぼーっと過ごしてギリギリにゴールなんてめんどくさいし。
ベストなのは1人で短距離ルート。

4次試験は数日間は念の修行をしよう。
最近基礎できてないし、それに少しずつだけど発のことも考えが固まってきたし。
既にハンター試験に合格したからこそ、あたしはゆっくりできる。
誰かに狙われる可能性はあっても、あたしは誰かを狙う必要はないんだし。
きっとそこもパターン通り、あたしのプレートだけ6点分だったりするんだろう。んで他のプレイヤーにとっては3点分。

うん、余裕かな。

「あとはタカト先輩が合格してくれるよう祈るだけかなー」

まああの人が落ちることもないだろうけど。





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