「2次試験、あたしのメニューは…スシよ!」

そんな作るのに修行が必要なもの作れる人は少ないよ、メンチさん。

そーいや久しく寿司食ってねえなあとシャリをつまみ食いしながら日本食を懐かしんでいる先輩と、あたし。
シャリとわさびと海苔だけを巻いて、しょうゆをつけて食べたら懐かしの味すぎてちょっと涙出た。やばい寿司食べたい。回るヤツでいいから。
機会があったらメンチさんになにか日本料理作ってもらいたいなあ。あ、ここではジャポン料理か。

「タカトとミズキってスシのこと、知ってるの?」
「まあ俺たちの国の料理だしな」
「とりあえず課題の握り寿司を作るなら魚をとってこなきゃね」

ゴンの頭を撫でながら言えば、魚かあとゴンは考えこむように首をかしげた。かわいい。
善は急げと、主人公組をつれてそそくさと試験会場から外に出る。
どうせほっといても魚が必要なことくらいすぐにわかるでしょ、うん。ハンゾーいるし。

「しっかし…エグイ魚しかいねーな…」
「本当に…」

川にたどり着き、適当に何匹か捕まえてみた。けど、どれも生で食べられるとは到底思えない。てか食べたくない。
まあ生じゃなくても茹でたり炙ったりする寿司ネタもあるし…。

「お、これタコっぽい。いけるんじゃね」
「ねえミズキ!これ生でも食べれる魚だよー!」
「タカト先輩とゴンすごすぎる」

確かに先輩の手に握られている軟体動物はタコっぽい。川にタコがいるのかは甚だ疑問だが。
ゴンが持っている魚も見た目はなんか触覚とか生えてるけど、生で食べられるってこの子が言うんだからそうなんだろう。野生児バンザイすぎる。
あたしもなんとかマシっぽい魚を捕まえて、6人で試験会場へと戻った。

その頃にやっと、他の受験生達は魚を捕りに森へと走り出していた。


調理場に立って魚の下処理をしながら、ゴン達に話しかける。

「とりあえず最初はみんなそれぞれ自分の思うままに作ってみなよ、突っ返されたらヒント教えるから」
「ちぇ、知ってるんだったら最初っから教えてくれればいーのに」

拗ねるキルアはクラピカが宥めてくれて、あたしたちはそれぞれにスシを作り始めた。
あたしとしては教えてもいいんだけど、メンチさんから教えたら落とすわよオーラがぷんぷん漂ってきてんだよねえ、ごめんねキルア。

ていうかスシ自体は知ってるけど別にあたし作り方知ってるわけじゃないのよ。
とりあえず魚はそれっぽい形に切ればいいとしても、握り方だって分かるわけじゃなし。
まあどうせ全員落ちるんだから、適当にやりますけど。

切った魚を味見してみたらどことなくサーモンっぽい味がしたから、まず適当に握ってみてからサーモンもどきをバーナーで炙り、上に煮詰め醤油とマヨネーズをかけたモノを1貫。
オニオンっぽい植物をスライスしてサーモンもどきの上に乗っけ、なんとなく作ってみたカルパッチョソースをかけたモノを1貫。
同じくオニオンスライスもどきを乗っけてマヨネーズをかけたモノを1貫。
合計3貫を用意して、メンチさんの元へと持って行くことにした。
安定の回転寿司ネタですようん。

タカト先輩も茹でたタコと生のタコのスシを2貫作ったらしく、ちょうどタイミングが合ったから2人でメンチさんのところへと向かった。

「1番はあんたたちね、早いじゃない。どれどれ…?」

知ってる風だっただけあって見た目はそれっぽいわねと呟きながら、メンチさんはまずあたしのサーモンもどきスシを手に取る。
そして数回咀嚼して飲み込むと、ちょっとの間悩んでから次のもどきスシへと箸を向けた。

な、なんでそんな微妙な顔をなさるんですかメンチさん…。

「このソースは手作り?」
「え?あ、はい」

と言ってもここにあった材料とそこら辺に生えてた食べられる草やらなんやらを適当にカルパッチョっぽくなるようにミックスしただけですけどね!まあ知識はあるから美味しいとは思うけど、個人的には。

「美味しいわ…あとでレシピを教えてちょうだい」
「え、も、もちろんです!」
「でも魚の切り方もシャリの握りも全然ダメだわ、不合格」
「…まじすか」

上げて落とすだなんてひどいよメンチさん。もしかして合格かもとか思ってガッツポーズしかけたこの腕どうすればいいの。先輩からの哀れみの視線が痛いよつらいよ!
次に試食をしたタカト先輩のタコの寿司も握りがダメだったらしく不合格。
さっきあたしを哀れんでいただけにちょっと恥ずかしそうな先輩がかわいかったです。

その後でスシを持ってきたゴン達の原作通りなやりとりを楽しみながら眺めて、結局2次試験は合格者無しで終わってしまった。
てことはネテロ会長が降ってきてその後はゆでたまごになるんだよね、うんそっちも楽しみだ。


ちなみにこっそりヒソカから渡された、キルアと奇跡の丸被りを見せたスシのブルゴーニュ風を食べてみたらかなり美味しかった。なんかむかついたけど。





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