久々の再会がそんなに嬉しかったのか、らしからぬ笑顔を浮かべてあたしにべったりくっついてるクラピカを見て、うっかりヒソカと並べてしまったのは内緒だ。
心の中で土下座しながら謝ったから許してクラピカ。

ヒソカ、イルミ、ときてクラピカまでこうなってしまってはもう先輩との進展なんて諦めざるを得ませんよははは。
タカト先輩の前でべったりされるのはちょっと心が複雑すぎて折れそうになるんだけどそれも慣れた。慣れたっつーか諦めた。
もういいよ好きにするがいいさ。ヒソカと比べるまでもなくクラピカは可愛いし。


「ブタかあ」

で、まあ今は２次試験真っ最中なわけで。
ブタの丸焼きを指定され、あたし達は森の中を彷徨っていた。
ちなみにどこかで原作とずれたのか、ゴンとキルアとレオリオは途中ブタ軍団の行進によってはぐれ、今はクラピカと先輩と３人。

なんか、クラピカが先輩に対して若干威嚇してるような、そんな気がする。気のせいだと祈ってるけど。

「ミズキ、ストップ」
「あ、はい」

しー、と静かにするように人差し指を唇に添えて、先輩が呟く。
その視線の先には数匹のグレイトスタンプがいた。
まだあたし達には、気が付いてない。

「デカっ…俺が行こうか？」
「いや、私が行く」
「…、」

あたしと先輩のとクラピカの、３匹分狩ってくるつもりだったらしい先輩の言葉を瞬時に遮ったのはクラピカだった。
あーあーそんな敵意むき出しで…クラピカはかわいいなあ。

そんなクラピカの頭をやんわりと撫でながら、苦笑気味にあたしが呟いた。

「３人で同時に行きましょう、いっせーのーで、で」
「…そうだな」

ちょっとだけクラピカの対応にむっとしてた先輩も、苦笑で返してくれる。
クラピカもおとなしく頷いてくれて、そしてあたし達はグレイトスタンプの群れに飛びかかった。

ひょいっと軽く飛んで、グレイトスタンプの弱点である額にかかと落としを一発。
数秒で倒れたグレイトスタンプの弱さにほんのちょっとのつまらなさを感じながら横目でクラピカを見やれば、なるほど額が弱点なのかと彼も木刀でグレイトスタンプを仕留めていた。
タカト先輩はもちろん、言うまでもなく。

「見た目より弱えんだな」
「まあ、所詮動物ですし…」

さて焼くかと木の枝や葉っぱを集めていたら、そういえばと先輩が顔をあげた。

「俺、火持ってねえ」
「！…私もだ」

なんだ、そんなことか。
どさっと集めた木の枝の上にグレイトスタンプをつるしながら、ぽいっとポケットからライターを取り出して先輩にパスした。

「あたしがライター持ってるから、大丈夫ですよ」
「おお…でも何でライターを？」
「……」

た、煙草吸うためだなんて言えない。

いやそれはほらあれですよもしもの時の為にねなんて笑いながら誤魔化す。
ふーんととりあえず納得してくれたらしい先輩と、クラピカと並んでグレイトスタンプが焼けるのをのんびりと待った。


結果、ブハラの試験無事合格。



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