現在に戻ってきて、みんなに1番驚かれたのが左腕のことだった。
そりゃまあ、なくなって包帯まいてたら、びびるだろうけど。
着ていたクルタの民族衣装は旅団員に見られる前にさっさと着替えて大事にしまっておいたから、そっちは大丈夫だと思う。

「なんか良い義手ないかな、機械鎧みたいな」

右手でかたかたとパソコンをいじりながら、義手についていろいろ調べてみる。けど、イマイチ見つからない。
ていうか右手だけだとタイピングやりにっく…いらいらする!まさかこんなとこで弊害が出てくるとは思いもしなかった…。

にしても、この世界に機械鎧みたいな技術ってないのかなー、結構進んでそうだとおもうんだけど。

「ミズキ」
「ん?あ、クロロ」
「…ちょっとこっちに来い」

部屋に入ってきたクロロに呼ばれ、ひょいっとイスをおりて後を追う。
何かと思えば、クロロの部屋で見たことのない初老の男性が、イスに座ってコーヒーを飲んでいた。
な、なんだこの好々爺っぽい人。

「義肢装具士のバルデロと申します」
「え、あ、どうも…」

どうやらクロロがわざわざ呼んできてくれた、らしい。
この人は念を込めた義肢を作る、達人?名人?なのだとか。
1つの依頼で何十億もかかるのが普通だって言うからもう、えええとしか言えない。そ、そんなお金、誰が払えるの。

「金のことなら気にするな」
「クロロ…?」
「元はといえば、俺の責任だからな…」

少し悔しそうに、でもどこか申し訳なさそうに呟くクロロ。
このクロロとほんの数日前に相対したクロロとがどうしても一致しなくて、ほんの少しだけ笑いそうになる。
でも、クロロが唇を噛んでいるのが見えてしまったから。

「…、」

あたしは、何も言えなくなってしまった。



クロロは、旅団のみんなは、クルタ襲撃の日のことを覚えているのかな。
覚えていたとして、あたしのことをどう感じたんだろう。
きっとウボォーやノブナガ達なんかは、絶対殺す!ってなってたと思う。他はわかんないけど。
あたしを…アレンを、敵として覚え続けるんだとしたら。そして、そんなアレンとあたしが同一人物なんだとわかったら。

みんなはどうするんだろう。

そんなことを、考えてしまった。






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