「雀牌…?」
「ああ、美術館から盗ってきた」

昨日晩、隣町の美術館に忍び込んで派手に暴れてきたらしいクロロ達。
そこで何を盗ってきたのかと見てみれば、麻雀牌と点棒とサイコロ。うん、前の世界で友達が使ってた奴となんら変わりない。

デザインは真っ黒で…まあなんつーか高そうではあるけども。

「なんかの曰く付きとか?」
「負けた奴が過去の世界に飛ばされるらしいよ?」
「何それこええ」

マイナス4000点で4000年前に飛ぶとか?そんなの怖すぎんだろ…。
役満あてられたら死ねるぞ…。

「というわけで、やってみてよ」
「やだよ何でだよ!?」

にっこり顔のシャルの提案に首をぶんぶん振って否定したのに、結局、あたしとタカト先輩とフィンクスとハゲクロロの4人で麻雀をすることになってしまった。
何で提案者のシャルさん入らないんすか。

サイコロを振って、先輩の親からスタート。
東風でいいよね?って訊いたらクロロが俺は半荘派だとか言うから半荘でいくことに。あたし東風のが好きなのになー。


黙々と麻雀を進めるあたし達を興味深そうに眺めるシャル。
あああやだな絶対負けたくない…でも先輩にも負けて欲しくない。ここはなんか苦労人オーラ出てるフィンクス辺りにささっと負けちゃってもらいたいところだけどなんかむかつくからクロロが負けてくれたらもっと嬉しい。
でもクロロ強そうなんだよな、ハゲのくせに。

つーか麻雀ってこの世界でも共通なん?そんなメジャーなもんなのこれ。
友達がやってたからなんとなく出来るけどさあ…。

「あ、それロン」
「まじかよ!」
「メンタンピン三色ドラドラで12000ねー」
「東一からふざけんなよミズキ…!」
「うっわ俺振らなくて良かったー」

フィンクスから点棒を受け取って、この調子ならビリにならずにすむかも…とほくそ笑む。
過去に飛ばされるなんて絶対嫌だからね!帰れる保証もないし。

「ダブ東白対々で2000と4000だな」
で、クロロがツモって。

「ロン!七対二ドラ4で12000!」
タカト先輩があたしからロンして。

「撥中小三元ドラ1、満貫でーす」
あたしがまたツモって。

「国士無双」
「ふざけんなよフィンクス!」

っていうのが続いて、結果。

「ミズキが300点差でビリだね」
「たかが300点…されど300点…くっ」

微妙な、ほんっと微妙なトコで負けた。
役満でとばされたりするより悲しいんだけどちょっと、これ、もう…っ!
あそこでリャンピンを捨てなかったら…!

「ちょ、おい、なんか雀牌光り始めたんだけど…っ」
「えっえ、まじで過去行くの?いっ嫌だあああ」

あたしの叫びも虚しく、あたしは麻雀牌から溢れ出した光に包まれて、意識を失った。





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