あたしと先輩の前に立つのは、クロロ、シャル、フィンクス、フェイタン、そして最近仮アジトにやってきたノブナガの5人。
そういえば最近女性陣見ないなと関係ないことを、修行について話すクロロの声をBGMに考えていた。

「ハンター試験を受けたいとミズキに聞いた。そのためにミズキとタカトには、基礎体力向上から念能力取得までの修行を受けてもらう」
「はいクロロ、質問」
「何だタカト」
「ハンター試験ってなに」

改めて、やっぱり先輩はハンターを読んだことがないんだなあとちょびっとだけ悲しくなる。あんな名作なのに。

クロロがハンター試験についてタカト先輩に説明している間、シャルがあたしに話しかけてきた。
何でいきなりハンター試験受けようなんて思ったの?と。

「ちょっと、やりたいことがあってね」
「ふーん?ミズキって、なんかほんとこの世界について詳しいよね」
「…そうでもないよ?」

笑って誤魔化せば、そうでもあるよってシャルがつっかかってくる。
何だ今日はえらいつっこんでくるな。でも何も答えませんよあたしは。
そんなシャルがフェイタンに突かれているのを横目で見ながら、先輩への説明が終わったらしいクロロへと視線を向けた。

「タカトはフェイとフィンクスが、ミズキはノブナガとシャルが見る。ある程度の基礎が出来たら戦闘スタイルも含めていろいろ教えてもらえ」
「あれ、団長はなにすんの?」
「俺は総監督だ」

ふんぞり返るクロロはどこか楽しそうで、ああこのハゲに頼んだのは失敗だったかなと心の底でちょこっと思ってしまった。


++++


「とりあえず何すりゃいーんだ?」
「団長は基礎体力がどうのこうの言ってたけど、ミズキはヒソカと追いかけっこしても疲れないくらいなんだし、戦い方からでいいんじゃない?」
「んじゃ組み手でもするか」

あたし空手とか柔道とかボクシングなんてしたことありませんけど。

そう告げてみても、適当に構えて反応だけしてみろ、と言われれば従うしかない。
諦めて、なんとなくそれっぽい構えをとり、ノブナガに向き合う。
ふうんと微妙な反応をされた、けど気付かないふり気付かないふり…現実なんか真面目に見てたらやってらんねえよ…。

「じゃ、行くぜ」

ノブナガの拳は、速くて重かった。
でも、あたしの体は軽く、速く、動く。まるであたしの体じゃないみたいに。
打撃を受け流し、ノブナガがしたように蹴りや突きを繰り出してみる。

おお、あたし格闘家っぽい、なんて少し笑いながら組み手を続けていれば、余裕そうだと2人して笑われた。
実際のところ、かなり余裕だったんだ。

確かにノブナガの攻撃は速かったんだと思う。でも、あたしの目にはしっかりとその動きが見えた。
だから反応も出来たし、腕や足を使って受け流すことも出来た。

トリップ特典、すげえ。

「ミズキって格闘技とかの経験、ないんだよね…?」
「うん、まったく」
「それであの反応かよ、バケモンだな」
「えー…ひでえ」

あたしの体術は、実際に鍛える必要なんて無いくらいのレベルだったらしい。
やるとすれば、戦術についてだとか、武器の使い方だとか、そういうのだけで。

「それすらも1週間かかんなさそうだよねえ」

苦笑気味に、シャルはそう言った。





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