懐かれた。ヒソカに。


あれから意識を取り戻したらしいヒソカにすごい追い回されてる。うざったい。
不本意ながらヒソカを一発KOしたあたしを気に入ったそうで。迷惑きわまりないですね。

ほんっと、どこに行くにもついてくるから、困る。

まず煙草吸えない。
なんとか撒いて煙草に火をつけた瞬間くらいにどこからともなく現れて、煙草を奪い取りながら「ダメだよ」とかハートマーク飛ばして言ってくる。うざい。
次に先輩と、ってか旅団のみんなともだけど、話が出来ない。
先輩とかシャルとかコルトピとか見つけて話しかけようとしたら、「ねえねえミズキ」ってあたしを後ろから抱えてくる。
無駄にどきってしちゃう自分がむかつく。だって顔はかっこいいし。
さらに、これが1番あたし的には問題なんだけど、コルトピが怖い。怖いっていうかもう恐ろしい。
常にヒソカに向けて殺気びんびん飛ばしてる。それに呼応してヒソカまでいろんなモノがびんびんになってるから本当に心の底から勘弁して欲しい。なにこの挟み撃ち。

「ヒソカまじ帰んないかな…」

とりあえず今のところは撒いてるけど、どうせすぐ出てくるんだろう。
そして無駄なボディタッチをしてくるんだろう。
昔の彼氏がそんな感じだったから慣れればもう相手する気も失せるんだけど。
恥ずかしがるとかそういう段階無かったよね、軽くすっとばしたよね。

「あ、ミズキみーつけたっ」
「ひいこっちくんな」
「そんなこと言わないでもいいじゃないか」

ひょこっと現れたヒソカが両手を広げてあたしを追っかけてくる。
もうなんか、もう…もう…!

「いい加減にしてえええ!!」


++++


「なんかあいつら親子みたいじゃね?」

広場で、ミズキにとっては不本意だろう追いかけっこをしているミズキとヒソカを見ながらフィンクスが呟く。
それに対して俺はただ苦笑するだけだったんだけど、カチカチと携帯をいじっていたタカトが予想外に低い声でぼそりと呟いた。

「別れた女にくっついてる元彼だろ、どっちかっつーと」
「タカトこええよ…」

当人達はただの先輩後輩関係だと言っていたけど、なんだかんだタカトとミズキは兄妹みたいな感じなんじゃないかなと俺は思う。
ていうか、まあミズキは確実にタカトのこと好きだと思うけど。
タカトは気付いてないのか、気付いてて知らないフリをしてるのか…ミズキもかわいそうにね。

「っだーもういい加減にしろよクソピエロ!その顔で追いかけられんの気持ち悪いんだよ!!」
「お、とうとうキレたかな」

広場から出て行ってしまったミズキとヒソカの姿は見えなくなっていたけど、怒声がはっきりと聞こえてきた。
俺がけらけらと笑っていれば、広場にまた戻ってきたミズキに「笑ってないでコレどうにかしてよシャル!」と涙目で訴えられる。

「物扱いされてやんの」
「コルトピこええよ…」

少し遠くにいたコルトピの呟きにフィンクスがツッコんだ、それとほぼ同時に。
ヒソカがミズキを捕まえた。

「つっかまーえた」

すっごく嬉しそうなヒソカに対してミズキは絶望の表情だ。そりゃまあそうだよね。

にしても、団長でさえ一目置くくらいのヒソカからあんな長時間逃げ続けるなんて、ほんとにミズキはいったい何なんだろう。
あんなに走り回ってたのに息もまったくきれてないし。
異世界の人間ってみんなああなのかなー。

「その顔を、近づけんな!」
「まったくミズキは冷たいなあ」
「てめえのやったことを思い出してみろ!」
「ん?一緒にシャワー浴びようとしただけじゃないか」
「ンなこた別にいいんだよ!勝手に人の下着物色して「今日はこれがいいんじゃないかな」とか気色悪い笑顔で言ってきたりしたろーが!」

ミズキってキレたら男みたいな言葉遣いになるよねー…って、え?
下着漁るって…ヒソカ終わってるな。
そんでコルトピのオーラが般若みたいになってんだけど、俺まで怖いよ。

…ていうかミズキ、シャワーはいいのか。





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