大きい紙袋5つ分の服と大きい袋1つ分の下着やソックス類。他にもアクセとか帽子とかを揃えちゃったりしてあたしの乙女心は存分に満たされた。
クロロ、いつかお金は返します。天空闘技場とか行ったあとで。
さすがにこの量この値段じゃあたしの繊細な心が痛むわー。

きっちり2時間で1階の喫茶店に向かえば、フィンクスとタカト先輩が待ちくたびれた表情で迎えてくれた。
机の上には2杯ずつのコーヒーと紅茶。…うわあ結構待たせちゃったのか。
連絡してくれたら少しは急いだのに。先輩のために。

「ごめんなさい、どれくらい待ちました?」
「1時間ちょい」
「あああすみません…!」

心なしか先輩が不機嫌だ!それ以上にフィンクスが不機嫌だ!こええ…!
こ、こええ…!

「本当にすみませんでした…」
「もうミズキ、そんなに謝らなくても大丈夫よ」
「いやでも…」
「フィンクス達もそんな怖い顔しちゃ駄目よ、ミズキが泣きそうになってるじゃない」
「「え゙」」

びびってはいるけど泣きそうにはなってない、けど、びびってる顔が泣きそうな顔に見えたのかフィンクスと先輩、特にフィンクスがおろおろしだした。
おい泣くなよ、怒ってねえから安心しろ、泣くなって、泣いたらあれだからな、ケーキ食べるか?って。
…最初にあたしのこと殺せばいんじゃねって言ったのはどこのどいつなんだと。まあ面白いからいいけどさ。

「だ、大丈夫ですから…」

苦笑しながら返すもフィンクスはおろおろしっぱなしだった。何でかわかんないけどタカト先輩もなんか表情がこわばっている。
あとでパクに聞いた話だと、コルトピが今まで感じたこと無いくらいすごい殺気を2人に向かって放ってたらしい。ほんとあたしコルトピに愛されてんな…。
フィンクスをびびらすレベルの殺気ってどんだけだよ。

で、他にも生活に必要な雑貨を買い集めていって、無事に買い物を終えた。
女は日用品が余計にいるから困るね。
まあ男もひげそりとかいるからおあいこ?なのか?な?よくわかんないけど。
でも生理のある女子には勝てないと思うんだ…。


アジトに帰ってきてから、そういえばとフィンクスに話しかけられた。

「ミズキ、お前煙草吸うんだな」
「!?」
「…んな世界の終わりみてえな顔すんなよ」

な、なんで、それを。シャルしか知らないはずなのに。
あたしの表情から言いたいことを察したのか、フィンクスはあっけらかんと「ああシャルから聞いた」って言ってのけた。
ちょおおおシャルううううあんま人に特に先輩には言わないでねって言ったじゃんかよおおお!
頭を抱えてシャルへの報復を考えていたあたしの頭に、ぱこ、と何かが当たった。箱かなんかが入った袋?

「シャルに頼まれたから、適当にメンソの煙草何個か買っといた。気に入ったのがあったらシャルにでも言え」
「ま、まじすか…!」

報復とか考えてごめんなさいシャル様!!
フィンクスもわざわざそんな何種類も…まじすんませんありがとうございますううう!

「心の底から嬉しいありがとう!これで生き延びられる…!」
「ほんとヘビースモーカーなんだな」
「フィンクスは吸わないの?」
「1日2箱くらいだな」
「あんま変わんないじゃないすか」

それ余ったら俺かウボォーにでも渡せよと言われ、フィンクスは去っていった。
もう1回ありがとう!とお礼を言って、煙草の入った袋と袋の山を抱えて屋上へと向かう。

屋上は、あたしのお気に入りスポットになりつつあった。





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