クロロやコルトピ達に、日本語や英語、その他もろもろ分かる限りの言語を教えたり、鞄の中に入っていたDVDやCDを再生してみたりして、あたしとタカト先輩のもてる知識を総動員してあたし達の世界のことを教えた。
DVDとCDがこの世界でも再生できたことにびびった。
てかあたしの持ってたDVD普通にアニメなんだけど。先輩の前で再生すんの恥ずかしかったんですけど。顔から火が出るかと。
あたし達の世界の話を聞く旅団の人たちはそこそこ楽しそうで、話してるあたしも楽しくなる。
けど、クロロの知的探求心的なあれにはほとほと疲れた。底無さ過ぎだろうよこの人。

ある程度話し終えたときにはもう2時間か3時間は経っていて。
「適当な場所で寝ろ」ってタオルケットを渡されたときには泣きそうになった。
せめて部屋を与えて…ください…。どこでもいいから…。

涙をのみながらタオルケット片手に、屋上へと向かう。
ちなみに、寝るためではない。


+++


「っはあー…!生き返るううう」

ぷはあああと肺の奥底から煙を吐き出して、至福の笑みを浮かべる。
何時間ぶりの煙草かわからないけどとにかく我慢して我慢して我慢した後に吸う煙草のうまさは格別ですね!

ええまああたし喫煙者です。未成年だけど。よい子は真似しちゃいけませんよっていう。
でもね、父親も母親も兄貴も弟もみんなヘビースモーカーなんだよ。もう家族公認レベルなんだよ。DQN一家とののしられても仕方ないレベルなんだよ。

でも煙草吸ってんの先輩にはバレたくないんだよなー。
ほらやっぱ未成年で女で煙草吸ってるってもう恋愛対象アウトでしょ…多分…いやもう元から入ってないかもしれないけど。

しかしこの世界にあたしが吸ってんのと同じような煙草あんのかな?どうなんだろ…。
まあ無いなら無いでどうにかこうにかがんばるけど…これ気に入ってんだけどなあ。
あと1箱…大事に吸おう。

「はあでも…うま…」

また肺の奥底まで煙を吸い込んで、吐き出す。
1本目が真ん中あたりまでいったとこで火を消して、2本目に火をつけた。

「ねっむ…」

気候的に秋と夏の間か春と夏の間くらいだと思うんだけど、夜だからかやっぱりちょっと肌寒い。
そろそろ下降りて寝ようかな、どこで寝ようかなーって思っていたら。

「ミズキ?何してんの?」
「ぅえっ!」

声が聞こえた。
ソッコーで煙草を落として足で踏みつぶす。
ばっ、と振り返れば、そこにはシャルがいた。ひい、煙草吸ってんのバレた。

「まだ寝てなかったんだね」
「え、いや、はい」
「タカトはさっきまでフィンクスとウボォーと飲んでたんだけど酔いつぶれて寝てたよ。混ざらなかったんだ?」
「う、はあ、おお?」
「さっきから何変な声出してるの?」

あれこれもしかして煙草バレてない?セーフ?ギリギリセーフだった?
てか先輩またフィンクス達と飲んでたのか!気に入られてんな!

「てかミズキ、煙草吸うんだ」

はいアウトー!ですよねー!

「意外、未成年だよね?」
「この国でも未成年アウトですか…」
「19からだったかな」
「ああじゃあアウトっすわー」

シャルはだめじゃんーとけらけら笑う。、A級賞金首に言われたくないと返せば、また同じように笑っていた。
くっそかわいいなシャル。

「それ、ミズキの世界の煙草?」
「うん」
「あと何本あるの?」
「約1箱。1日どころか半日でなくなるわ」
「なかなかヘビースモーカーだね…」

下手すれば1日で2箱半くらいなくなるんだけどね。
まあでもこれからの生活は結構先輩と一緒にいること多そうだし、本数減るかも…減らしていきたい…いやうん、無理かな。

シャルはあたしの煙草の箱を見ながら、ふーんと何かしきりに頷いていた。なんなんだ。

「もう吸わないの?」
「え、いや吸っていいなら吸うけど」

でもシャルの前だとちょっと吸いにくいな。
ウボォーとかフィンクスの前なら別に気にしないんだけどな。あとハゲとか。

「俺もたまに吸うし、気にしなくていいよ。これ1本もらってい?」
「まじかよどうぞ」
「ありがと!異世界の煙草かあ」

シャルが口にくわえた煙草にジッポライターを近づけて火をつけ、自分のものにも火をつける。
一口吸って、この世界の煙草とそんなにかわんないね、とシャルは笑った。
煙草を吸うシャル…たまんねえ…なんかこう色気?大人の色気が出てる。

「あんままじまじ見られると吸いにくいんだけど」
「うへあすんません」

これは惚れるわ、かっこよすぎんだろシャル。





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