ッダン!と、華麗とは言えない着地をしたあたしの後ろで、コルトピがすとんっと華麗に着地をする。
天井から入ってきたことに特に意味はない。
この苛立ちを体で表したかったのとストレス発散?

手に持っている大量の袋の中には、数え切れないくらいのプリン。
ちなみに数えろといわれるならその数は200前後ってとこだ。買えるだけ買ってきたからね。

「なんだ、まだ元気じゃないか。ミズキ」
「まだ元気じゃないかーじゃねえよ!いったい何軒ハシゴさせる気だ!これでもう5軒目だぞ!!」
「それだけ元気があればあと10軒は余裕だな?」
「っざけんなハゲ!」

あの話が終わってから、あたしは旅団のパシリとなることになった。
衣食住はやるからパシリになれと。クロロが満足したら解放してやると。そういうことだそうで。
んで今は走っていける距離にある、ありとあらゆる洋菓子屋のプリンを買い占めに行かされている。
こんなに買って賞味期限以内に食べきれるのか甚だ疑問だ。
てか食べたいからってよりもあたしをいじめる為に買ってるとしか…。

道案内のために付き添ってくれるコルトピに申し訳ないとか思わないのかこのハゲ。デコハゲ。いっそ後頭部まで髪の毛後退しちまえハゲ。
トリップしてからあたしのクロロ株はガタ落ちである。うむ。

「…え、ミズキ…?」
「!?…せ、せんぱい」

起きてたのかこの人…!
しまったー!先輩目の前にしてクロロにブチギレちゃったようわわわわ!
タカト先輩の前ではキレないように高校生活がんばってたのに!

「なん…え、大丈夫なの…か?」
「え!?ああはい大丈夫ですよ!もう元気いっぱいですしどっこも痛くないです!」
「ならあと20軒は行けるな」
「てめえは黙ってろハゲクロロ」
「「……」」

遠くからシャルの「フェイタン今日いなくてよかったよねー」ってパク達と話してる声が聞こえる。
ああ確かに団長狂なフェイの前でクロロにこんな態度とってたら首ちょんぱかもね!

「…俺、ミズキって結構おとなしい寄りの奴かと…思ってた」
「基本的には、おとなしい方なんですよ…」

もう誤魔化せないレベルまできてしまった。
好きな人の前では可愛くなくても可愛くありたいこの乙女心が…粉々に…砕け散る…。
今夜は煙草片手に月見酒でもするかなははっ…。

「ねえ、団長」
「、どうしたコルトピ」
「僕ミズキの世界の話聞きたいんだけど、プリンはもういいよね?」
「そうですよ団長、こんなに買って食べきれるんですか?」
「あ、このプリン好きなやつだー」

コルトピの発言に女性陣が賛同というかなんというかアレしてくれて、結果、あたしはもうプリンを買いに行かなくていいことになった。
良かった、「店中のプリンください」「えっ、全部、ですか…?」「はい奥の在庫も全部お願いします」の会話をもう繰り返さなくていいんだ。店員さんのあの驚愕のまなざしを受けなくていいんだ…!

「コルトピありがとう愛してるううう」
「僕もミズキのこと愛してるよ」
「まじかよ照れる!」

なんだコルトピかわいいほんとかわいい。
これから毎晩一緒に寝ようぜ!って言いたくなるね。かわいいね。

そんなあたしのハイテンションも、クロロ改めクソハゲの一言によって打ち砕かれた。

「じゃあ、異世界のこと、話して貰おうか?」

あ、今夜は眠れなさそうですね。
つーかまあ今何時かよくわかんないんですけどね。





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