目を覚ましたと同時に感じたのは、激しい頭痛と吐き気。

確かミズキが倒れて、それでうろたえる俺と気を失ったミズキを抱えて、シャル、って人が廃墟の中まで走っていって(すげえ速かった)。
んで俺はミズキと別の部屋に置いて行かれたんだ。
そこにはガタイのいい男が2人と女性が1人いて。
なんやかんやで酒を渡されて…。

やべえ、そっから思い出せない。

なんか途中でミズキが戻ってきた気はすんだけど…だめだ頭痛い。気持ち悪い。
近くに水道があったからひねってみる。
思ったより綺麗な水が出てきたからそれで顔を洗って、よろけながら部屋の外に出た。

「ミズキ…?」

廊下の向こうから声がする。けど、ミズキの声は聞こえない。
どこいったんだろ…そう考えていると、背後からぽんっ、と頭を叩かれた。

「大丈夫か?おらよ、水」
「えっと…フィン、クス?」
「飲み過ぎで記憶飛んだか?お前もガキだな」

けらけらと笑う、多分…フィンクス、から受け取ったペットボトルのミネラルウォーターをのどに流し込む。
少し頭がすっきりした。
フィンクスに礼を言って、声のする方へと一緒に歩き出す。

「俺、どんくらい寝てました?」
「さあな、3〜4時間くらいじゃねえか?」
「そんなに…」

ミズキはどうしてるんだろう。
ほとんど覚えてないけど、なんだかミズキとここの人たちの間にピリピリした空気が流れていた気がする。
それに腕の怪我も多分、まだ…。

「ここら辺の森ん中って、あんな変な生き物がうじゃうじゃいるんすか」
「そりゃそうだろ、まあ基本的には人を襲うような奴はもっと深いとこにいるけどな」
「そっか…」

2人で入った部屋の中には女の人が2人、男が3人いた。
男の方は…ウボォー?とシャル…あと1人は誰だ?
女のは確かパクノダとシズクって言ってたはず。

…で、ミズキはどこだ?まだ寝てる…のか。

「お!タカト、起きたか!」

あんだけの酒で酔いつぶれるなんざおまえもまだまだガキだなあ!ってウボォーが俺の肩をばしばし叩いてくる。少し痛え。
流れで「すんません…」と謝りながら、周囲に目をやる。
なんかだんだん思い出してきた。
この人達、確か幻影旅団って名前の盗賊団なんだよな、んですげえ強い、らしい。
そんでミズキは何でかしんないけど、この人達のことを知ってた…。

も、しかして、殺されたとか…そんなことは、ない、よな?

「な、なあ、ウボォー」
「あ?どうした」
「俺と一緒だった女の…ミズキ、今どこいんの?」
「…、」

何で無言になんだよ。
ミズキになんかあったのか?怪我の処置が間に合わなかったとか?
ちょっと待てって。フィンクスも何でなにも言わねーんだよ。
ここ、異世界なんだろ?んであいつは後輩で女で、俺が守ってやんなきゃいけないのに俺を守って怪我して、で、どうなったんだよ。

あいつに、ミズキにまだ礼も言ってないのに…。

後ろ向き後ろ向きに進んでいく思考。
ミズキがいなかったらこの何がなにやらわからない世界で、1人きりで生きてかなきゃいけないのかとか、2人で戻ることもできないのかとか、どんどん悪いことばかり考えてしまう。

相変わらずフィンクスとウボォーは何も言わない。
ほんとにミズキに、何かあったのか?

…もう1度、今度はシャルに聞こう。
きっとシャルなら答えてくれるはずだから。
そう思って、一歩踏み出したときだった。


「クソクロロっのやろおおお!!」

すげえ叫び声と共に、すげえ量の袋を抱えて、ミズキが空から降ってきた。





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