ああ…タカト先輩がここに来た経緯を話しちゃったのね…。
そりゃここがどんな場所で自分に何が起きたのかわかんない人だったら、何でここにいるのかとか聞かれたらいきさつを答えちゃうよね。
無知さがうらやましい。
あたしは中途半端になんでも知りすぎてるせいで、そういうの話しづらいんだよ。

「名前は…ミズキと言ったか」
「はあ…」
「さっきシャルに話していたことが本当なら、俺のことももちろんわかるよな?」
「…、」

この人はなんていうか…やりにくい。
めんどくさいと思いながらもクロロに関する知識を、脳細胞総動員で思い出す。

「クロロ=ルシルフル、流星街出身、幻影旅団団長、プリン好き、えーっとあと何があったかな…」

だんだん小声になりながらクロロのプロフィールを話していく。
本が好きだとかなんとかかんとか…。

わかった、もういい。と止められた頃には10個くらいプロフをあげていたらしい。
そりゃ恥ずかしくなってくるわ。
なんか言い過ぎた感が漂ってて思わずごめんなさいと謝った。
ついでにシズクに毒のことに関してお礼を言っておいた。

「それで、お前達の目的は何だ?」
「いや特には…怪我も治してもらったんでもう何もないです」

ぱらりと巻かれていた包帯をほどけば、もうあの抉れたような傷は跡形もなく消えていた。
治癒力も上がってるらしい。
それを「ほう…?」と面白そうに見ているクロロの視線が痛いけれども。
シャルやシズクもびっくりしていた。そんな酷い傷だったのかな。

「で、これからどうするんだ?」
「え?」
「傷は治った。で、どうするんだ」
「え、いや…まあ、適当に…てか何も考えてないんですけど」

候補としてはハンター試験に受かってライセンスを身分証明書にしながらバイト生活?かな?
もしくは天空闘技場に行ってとりあえずの資金集めとか。
今の体力なら数百万ジェニーくらいは集められそうだし。

「傷を治してやった俺たちに礼もなし、か?」
「え?や、さっきありがとうございましたって…」
「貴重なシズクの力を何の関係もないお前の為に使ってやったんだ。礼として俺たちに何かしようとは思わないのか?」
「えー…」

なにこのクロロめんどくさい。
いやシズクにはそりゃね、いくらでもお礼したいなとかは思うけどね?
なんかもうこのクロロめんどくさい。
言い方がうざい。

「異世界の知識を話したり、雑用をこなしたり、な」
「さんせええい!」
「!?ちょっ先輩何言っ…」
「むにゃ…」

寝言だった。
先輩ごめん、あたし先輩のこと大好きだけどごめんこれだけ言わせて。

まじで黙れ。

「片方はこう言ってることだしな」
「まあ俺も異世界にはちょっと興味あるし」
「でもこいつには変な能力あんだろ?タカトだけ残してこいつは殺してもいいんじゃねえか?」

なんかフィンクス怖いこと言ってるー!
嫌だよ先輩だけ残して死ぬとか。そんな展開になるなら先輩抱えてこっから逃げるわ。

「いや、俺はこの女の方が気に入った」
「団長ロリコン…」
「そうじゃない!」

的確なツッコミをいれたコルトピを思わず凝視してしまった。
顔見えないけど多分笑顔を向けられた。かわいい。

「この女のオーラを感じないか?まるで雛を守る親鳥のようじゃないか」

興味をそそられる、と。
笑うクロロに対して思ったのは、やっぱり、めんどくさいの一言だった。





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