ふれあう   



スクアーロ騒動も無事終わり、いや、スクアーロは無事じゃなかったけど、とにかくその後何も起きなかったイコール終わったってことで。それから1週間くらい経ち、あたしとフランは部屋でだらけていた。

2人ならんでソファーにもたれ、たまにぽつりぽつりと会話しながらぐでーっとしている。
フランは最近任務続きで、あたしはリア姉さんの料理教室で、お互い疲れていた。
こういう時にこそフランの肩を揉んであげるべきなのかもしれないけど、あいにく腕が1番疲れてんだよねえ…。

「美遊ー?」
「んー?」
「膝枕してくださいー」
「ひっ、膝枕?」
「はいー」

突然の要求に思わずどもってしまった。
膝枕…それすなわち太股の太さモロバレという恐ろしい罰ゲームである…。
違うよってツッコミは受け付けない。女の子は色々大変ですから!

「え、いや、膝枕はちょっと…」
「美遊の意見は聞いてませーん」
「てめえ」

あたしの足の上に頭を乗っけたフランが、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
ムカッとしたのでそのほっぺを軽くつねってやる。

「いはいれふー」
「何言ってるかわかんなーい」
「うー…えいっ」
「むぎゃ!」

反撃してきたフランに、後頭部を思いっきり押さえられた。
ちょ、首の骨折れたらどうするの…!
驚きで瞑った目を開ければ、そこにはフランのドアップがあった。
更に吃驚して仰け反ろうとしても、フランがしっかとあたしの頭を押さえているため適わない。
この細腕の何処にそんな力あるのかなあ!

「美遊、キスしてー」
「なにその女の子みたいな台詞」
「まあミーは美遊より可愛いですけどー立派な男ですよー」
「なんだろうこの子腹立つ」
「ほら早くー」
「…じゃあ目ぇ閉じてよ」

「えっ」
「何故びびる」

目を閉じてと言ったのに、目を見開いて驚くフランの鼻をむぎゅ、と掴んでやった。
やめてくださいーって言うフランの可愛さに目がくらむ。
なんだろうなあもう可愛いのにむかつくわー。

フランは下からあたしを見上げると、驚いたままの表情で口を開いた。

「だって、キスしてくれるんでしょー?美遊が本当にしてくれるとは思わないじゃないですかー」
「…やっぱやらない」
「え、そんなこと言わないでー」

そう言ってフランはあたしの服を小さく掴んだ。
ちょ、ま…、美遊に100の精神的ダメージ…!
てかこれ男女逆じゃね?フランが女の子ポジションだよ!
やっばいかわい…じゃなくて、いいのかあたし、これでいいのか。

「…美遊ー?」

…フランが可愛いからそれでいいやもう。

もう一回目を閉じるように言えば、大人しく目を瞑るフラン。
まつげ長いなー…綺麗な顔。
確かにあたしよりフランの方が絶対可愛い。
なんか、ふわぁって幸せな気分になって、あたしはそっと、フランの唇に触れるだけのキスを落とした。

「…んっ!?」

のに、次の瞬間起きあがったフランに、ソファーの背もたれに押しつけられて、貪るような激しいキスをされる。
息苦しくって熱くて、とにかく恥ずかしいそのキスには未だに慣れない。
苦しさにフランの背をどんどん叩いても、フランはしばらく離してくれなかった。

酸欠で死ぬかと思った。
キスが原因で死ぬとか恥ずかしすぎる…。

「美遊、愛してますー」
「…うん、あたしも」
「ちゃんと言ってくださいー」
「、…愛してる、フラン」

言わせておきながら顔を真っ赤にさせるフランが可愛くて、ちいさく笑う。
と、ぐるりと体勢を反転させられた。

「ちょ、フラン!?」
「とりあえず美遊が可愛すぎるのでいただきまーす」
「いただくなぁっ!」


 (ただのバカップルみたいじゃん…恥ずかしー…)


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