すねる   



ふと我に返った。
今まで自分が何を考えていたか、いまいち思い出すことが出来ない。
えっと…スクアーロになんかよくわからないけど告白…され、て…っ恥ずかし!

あ、いやいやそれどころじゃなくて…。
その時に丁度フランが帰ってきて、フランがキレて、…ああ!

「スクアーロさん死んじゃったんじゃ…」

ぼそっと呟いちゃってから、しまった、ってぱっと口元に手を当てた。
きょろきょろと周りを見ても、フランの姿は見当たらない。
安堵の溜息を吐いて、ソファーに深く沈んだ。


正直…キレた時のフランは、すっごく恐かった。
あんな幻術…本当にリアルで、焼けちゃうかと思った…やっぱり、世界が違う。
でも、あんなフランを見ても、まだ好きだし、好きだって気持ちが消えるとは到底思えない。

なんか、あたし、大丈夫かな。

「美遊ー…」
「わっ、フラン」

いきなり帰ってきて、あたしの後ろから首に手を回してきたフランは、ぎゅーっと力を入れて抱き付いてきた。
こういうときのフランは本当に可愛いと思う。

「ミーが恐くなりましたかー?」
「…え、?」
「美遊、表情が強張ってますよー」
「あっ…、ごめ、」
「まあでもー、そんなの知りませんけどー」
「ちょっ、フランっ?!」

言うが早いか、フランはソファーを飛び越えてあたしに馬乗りになってくる。
痛いくらいの力で抱き締められたら、フランの心臓が早鐘を打っているのが聞こえた。
走って…帰ってきてくれた、のかな…。

そっとあたしも腕をフランの背中に回せば、すごく小さい声でフランに名前を呼ばれた。
何?と返せば、触れるだけのキスをされる。

「もう、あんなアホ鮫に触られないでくださいー」
「…ごめん」
「ミー、嫉妬で殺しちゃうかと思いましたー」
「参考までに…それはどっちを?」
「アホ鮫センパイは焼き殺してー、美遊はミーのお腹の上でヤり殺そうかとー…」
「まじすみませんでした」
「冗談ですよー」

冗談に聞こえないフランの言葉に軽く震えながら、でも、フランに抱き付く力を強くした。
びっくりしたのか、フランがどうしたんですかーと小首を傾げる。
…わ、可愛い。

「あたし、フラン以外には、ドキドキしないよ。胸がふわって温かくなるのも、落ち着くのも、幸せになるのも、相手がフランだからだもん。あの人に抱き締められてもそうはならなかった」
「…美遊可愛すぎですー」
「うきゃっ」

瞼にキスされて、びっくりした。
そのままフランは、あたしの身体の至る所にキスし始める。
額、瞼、ほっぺ、鼻の頭、唇、首、…どんどん下降していくそれに、あたしの顔は真っ赤に染まった。

「ちょ、あの、フラン…っ?」
「今度ミー以外の男に襲われそうになったらー、絶対ミーの名前を呼んで下さいねー」
「あ、うん…」
「ま、今度なんて一生来ませんけどー」

そう言ってあたしの目を覗き込むフランは、無表情だけど、まだ拗ねているように見えた。
でも、それってつまり、スクアーロに告白されてるあたしを見て、嫉妬してくれたって事。まあ本人も認めてたけど。
なんだか嬉しくて、つい、あたしはフランの額にキスをした。

「口だったら100点満点だったのにー」

でも、この減らず口誰かどうにかしてくれないかな。


 (犯し尽くして死んでしまえば誰にも触れなくなるから良いと思った、けど、そしたらミーもあたたかい美遊の鼓動を感じられなくなるから却下した)


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