たべる   



帰ってきたミーに、おかえりーと言ってくれた美遊は、とても上機嫌で。
ただいまーと返した後にどうしたんですかー?と問いかけたけれど、何でもないよと笑うだけだった。
その笑顔が可愛いと思う、あれ、かなり末期ですねーミー。

「それより早く血流しておいでよ」
「勿論美遊も一緒ですよー」
「えぇえ…」
「ご主人様の背中流すのもペットの役目ですー」
「普通ご主人様がペットの面倒見るよね」
「身体洗ってあげましょうかー?」
「あ、遠慮します」

慣れか諦めか、渋々タオルを持って付いてくる美遊に、笑みがこぼれた。
相変わらずタオルで身体を隠してはいるけれど、おとなしくミーの背中を流してくれる美遊はまさに従順なペットですよねー。


お風呂から出てタオルで髪を拭いていると、美遊がキッチンから何かを持ってきた。
何かと思って覗いてみれば、ベリータルト。
ルッス先輩にでも貰ってきたんですかねー?
それをテーブルに置き、どうだ!と言わんばかりの自慢げな表情をミーに向ける美遊。

…ミーはどんな反応を返せば良いんですかー?

「フランはベリータルト、嫌い?」
「別に好きでも嫌いでもないですけどー」
「また微妙な…まあ嫌いじゃないなら良かった」
「どうしたんですかこれー」

気になってたことを訊けば、美遊はえへへーと恥ずかしそうに頬を掻いた。

「リア姉さんに教えて貰って作ったんだ。フラン食べるかな、と思って」
「っ…美遊ー」
「わっ、フ、フラン!?」
「可愛すぎますよもー」
「えぇえ」

ミーのために美遊が作ってくれた。
それだけで、ミーの一番好きな食べ物がベリータルトになりそうなくらい嬉しかった。
思わず抱き付けば、美遊は焦ったようにミーの肩を押して少しの抵抗を見せた。
無視して強く抱き締めれば、次第にその抵抗も止む。

「いーから、食べようよ」
「食べさせてくださいー」
「この甘えん坊め…」
「美遊だからですよー」
「そ、ういうことをあんたは…」
「顔が苺みたいに真っ赤ですー」
「るっさい!」

美遊に食べさせてもらったベリータルトは、甘酸っぱくてとっても美味しかった。


 (一緒に苺みたいに真っ赤な美遊も食べて良いですかねー?)


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