今日は面倒だったから学校に行くつもりは無かったんだけど、雲雀さんにお茶に誘われたので昼から登校することに。

学校に着けば、遅刻の罰として先生に保健室の備品整理とやらを申しつけられた。まあ、うん。仕方ない。
ため息混じりに保健室の扉を開く、と、なんとハゲた剣道部員がベッドで気を失っていた。

「……、は?」

え、何この状況。ハゲてる……よね、つるぴかに。でも赤く腫れてるような……ってか誰か応急処置してやれよ。放置か。
……ん?って、あれ、まさかこの人。

「持田先輩か……!」

赤く炎症をおこしてるハゲ頭に、胴着、涙の跡、つーかこの顔つき。
明らかに持田さんですね、はい。

もう原作始まってたんだ……。じゃあ、昨日リボーンがツナの家にきたわけ?
なに私、ちょうナイスタイミング。怖っ。


起きる気配のない持田先輩。
なんだか放っておくのも忍びないから、保健室の戸棚を漁って消毒液と綿、氷を取り出した。
とりあえず消毒して冷やせば問題ないよ、ね?正しいかどうかわかんないけど。
消毒液を染み込ませた綿でぽんぽんと頭を拭いて、袋に入れた氷を薄めのタオルで巻いて頭部に当たるよう、ベッドに固定する。
う……と唸りながら身を捩った持田先輩に、苦笑い。

「女の子を賞品呼ばわりするから、こんなことになっちゃうんですよー」

これに懲りて、女の子はもっと丁重に扱うことですね。
なーんて呟いてみれば、持田先輩は若干苦しそうに顔を顰めて、ふっと落ち着いた表情に戻った。

さてと、備品整理して、さっさと雲雀さんとティータイムを楽しむことにしよう。


「ちゃんと笹川さんに謝れば、彼女は笑って許してくれると思いますよ」

保健室を出るとき、持田先輩が起きた気配を感じたのでそう言ってみれば、どこか気の抜けたような声が返ってきた。
まあ、まだ中学生なんだし、ちょっとくらい間違えたっていいんじゃないですか。とは言っても、持田先輩は調子に乗りすぎた気もするけどねえ。

静かに引き戸を閉めれば、保健室の中からお礼を言う声が聞こえた。


――…


「へえ、そんなことがあったんですか」

応接室で緑茶を啜りながら、今日あった体育館での出来事を雲雀さんから聞いた。
それは私がぎりぎり覚えている原作通りの出来事と大差なくて、本当に原作が始まったんだなあと再実感。
その内リボーンの策略でこの部屋が爆破されてしまうのかと思うと、複雑な気持ちである。

「君はいい加減そのサボり癖をどうにかするべきだと思うよ」
「雲雀さんに呼ばれたら来てるじゃないですか」
「急な用事が出来たらどうするの」
「何のための携帯だと?」

言いながら机の上に置いてある高級和菓子に手を伸ばせば、ひょいとそれを奪われた。
もちろん犯人は雲雀さんで、和菓子取らないでくださいよと軽く睨めば、私の大好きな和菓子が雲雀さんの口内に消える。

「ああー!」
「咬み殺されても文句言えないからね、君」

だから和菓子を奪われる程度で済んで良かったと思えよって事だろうか。でも今の私には和菓子の有無が割と重大な問題である。
しかし、うわあんすみませんでしただから和菓子取らないでぇぇえ!だなんて雲雀さんに泣きつく私は、相当この状況に馴染んできてると思いました。

 
back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -