入学から数ヶ月。どうにも馴染めない学校を休んだり行かなかったりサボったりしていたら、ある日の昼休みに担任に呼び出された。
職員室で軽ーく説教をくらいながらも、頭の中は今日の昼ご飯のことでいっぱいだ。今日こそは購買のそーめんパンとやらを食してみようと思っていたのに。
だから先生早くその無駄話終えてくれませんかね!

「――わかったか?」
「はあ……以後気をつけます」

やっと解放されたのは、もう昼休みが終わる頃だった。
くそうあの担任め……前髪後退すればいいのに。


もうなんだか頑張る気力がなくなったので、自販機で並盛牛乳を買ってから教室のカバンをひっつかみ、帰り支度。近くの席の子に「体調悪いから帰る」と先生に伝えてもらうよう頼んで、教室を出た。
もう休むなよって言われた矢先にサボってごめんね先生!

牛乳を飲みながらとんとんと階段を下りて、下駄箱に到着。
靴を履き替えて顔を上げたところで、1人の男子生徒と目があった。私と同じく、カバンを抱えて帰る気満々。
……あれっ、この茶髪つんつんは……ツナじゃん。

「え、っと…五十嵐、さんも帰るの?」

あわばばば話しかけられちゃった!嬉しいけどいやいいよ!そんな周りなんて気にせず帰っちゃおうよ綱吉君!

なんか、あんまり関わり合いにならないようと思う度にキャラと会う気がするぞ……?
雲雀さんに至ってはもう携帯の番号もアドも交換しあっちゃった仲だしね!たまに一緒に応接室でお茶したりしてるしね!最近応接室をゲットされたようで何よりです。

「ええと……沢田君も、帰るんだ?」
「あー…、うん」

なんとか冷静さを取り戻し、問いかけに問いかけで返せばツナは自嘲気味の表情で苦笑した。
まあ多分、何か嫌なことでもあったんだろう。別段絡みも無いのだし、さすがにそれを訊くわけにはいかないけど。

「じゃあ、滑って転んで頭打って死なないように気を付けて帰ってね」
「いや、え!?」
「あ、ごめん」

つい昔の友人に対する言動をしてしまった。
もう一度「ごめん」と呟きながらびっくりしてるツナに曖昧な笑顔を向けたら、ぷはっ、と吹き出される。ええ……まさかここで笑われるとは思わなかったよ。いや笑ってくれてありがたいんだけども。

「いや、笑ったりしてごめん!五十嵐さんって、もっと大人しい感じの人だと思ってたから、つい」
「ああ…よく言われるけど……」
「意外と面白い人なんだね」
「……沢田君もね」

まあ、クラスメイトなんだからこれくらいの会話はあっても良いよね……。

なんだか流れで、2人並びながら帰り道を歩いていく。
予想以上にツナとの話は弾んで、結構楽しかった。

「あ、じゃあ俺こっちだから」
「じゃあここでお別れだね」

ばいばいと手を振って、分かれ道を少し進んだところで、ツナが私を呼んだ。振り返ってみれば、ツナは苦笑を浮かべていて。
首を傾げれば、少し言いにくそうに間を開けて、ツナはもう一度口を開いた。

「今日、いろいろあってちょっと落ち込んでたりしたんだけど、五十嵐さんと話せてなんか元気出たんだ。だから……その、ありがとう」
「、ううん。こちらこそ」
「……え?」
「私も沢田君と話せて楽しかった。また明日、学校で会おうね」
「あ、……うん!」

じゃあ、また明日!

太陽みたいな笑顔で手を振りながら去っていくツナに、私も大満足な笑みを浮かべた。

 
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