「うそ……」

新学期。
私たちは二年生になって、明日には新入生を迎える。
そんな中、校舎前に貼り出されていたクラス替えの表を、私は何度も何度も見直していた。

「……私、B組になって、る」

それはもう絶望と言っていい程のショックだった。ツナたちと、違うクラスになるなんて。
もうコレ学校来る意味ないんじゃないかな中学の勉強なんてする気にもなんないしなんなのコレいじめじゃないの。涙すら出てきそうなほどのショックを受けている私の携帯が、制服のポケットの中で震える。
こんな悲しんでるのに何だようといじけながら、携帯を開く。

雲雀さんからの、メールだった。
内容は「B組になったから学校来たくなくなったでしょ?光は今年から風紀委員として応接室で事務作業してもらうから。そのつもりでいてね」……って。

あれっ、もしかして私がB組になったのって、雲雀さんがやったんじゃね?
そんなまさか……いやでも考えられる。
てか風紀委員て!事務作業て!体のいいパシリじゃないですか雲雀さん!
なんてこった。しかももう決定事項なのが雲雀さんらしいっちゃあ雲雀さんらしい。

遠くで騒いでるトマゾファミリーに気付いてからは、やっぱりA組じゃなくて良かったかもしれないと思いました。作文。


――…


A組に俺の名前を確認してから、今度はツナと獄寺の名前も見つけた。
けど、何回見直しても、A組に光の名前が見つからない。同じクラスじゃねえのか……。落ち込みながら、B組の方に目をやる。
そこにはしっかりと、五十嵐光と光の名前が記されていた。
隣のクラス。場所は近いけど、同じ教室じゃないってだけで、すっげー悲しい。好きな子と離れるのって、やっぱ嫌だよなあ。

小さくため息をつけば、隣からもっと深いため息が聞こえてきた。何だ?と思って視線を落とせば、ため息の主も俺の方を見上げている。
光、だった。

「おや、おはよう山本。クラス別れちゃったね」
「おはよー光。そうだなあ……俺すっげー残念」
「私も。B組って知らない人ばっかだし……」

昔からこういうくじ運無いんだよねと苦笑する光の頭を、くしゃりと撫でてやる。
光はふわりと、俺を見上げて笑った。この笑顔も、近くで見られなくなるんだな。
クラスが違うだけで、遠くにいってしまったような気分になる。……大げさかな?

「まあでも、弁当は一緒に食おうぜ!」

ぽん!と軽く肩を叩いてそう言った俺に、そうだね!と光は俺の頭を背伸びしてくしゃくしゃにした。
最近の光はよく俺の頭をなでる。もちろん好きな子に触れられて嫌なわけないし、光の撫で方は優しくてあったかくて、好きだ。でも、どこか子供扱いされているような気もする。光が、獄寺や雲雀の頭を撫でてんのは見たことないし。
……ま、気にしたって意味ねーか。
今、光が俺のことどう思ってても、今から変えていきゃあいいんだしな!

「んじゃ、ツナ達のとこ行くか」
「そだね。あー、みんなと離れたのほんとやだなあ」
「いつでも遊びに来いって」
「……ああうん、行けたらね……」
「?」

遠い目をして言葉を濁した光にはてなマークを浮かべるも、光はすぐに笑みを浮かべて向こうに見つけたツナに手を振りだした。
まあいっか、と俺も考えるのをやめて、後ろからやってきた獄寺に手を振る。
俺の手が光の頭に乗ったまんまなのに気付いた獄寺は、わかりやすすぎるくらいに顔を顰めていた。

 
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