ハンバーグを焼いている私を後ろから覗き込む獄寺は、何が楽しいのかよくわからないが興味津々だ。子供を持った母親の気持ちがなんとなくわかる。
って考えてみて思ったけど、よくよく考えれば私と獄寺って3、4歳くらい年の差があるんだよなあ。そりゃ可愛く見えてもしゃーないよねえ、今は同い年とは言え……。

「美味そうな匂いだな」
「ねー、ハンバーグってほんと偉大だよね」
「どんだけおまえハンバーグ好きなんだ」
「世界回れるくらい」
「!?」

いつか世界中のハンバーグを巡る旅に出てみたい。…って、ハンバーグって万国共通の食べ物?フレンチとかでは普通に見るけど……わからん。

すると、ハンバーグの匂いに釣られてきたのか、リビングでテレビか新聞か本かを見ていたはずの雲雀さんがひょっこりキッチンに顔を覗かせた。
その覗き方がまた子供みたいで可愛い。なにこれ今日すごい和むわあ。

「光、ハンバーグを焼いてるの?」
「そうですよー」
「何勝手に見てんだ!てめえはあっちで大人しくしてやがれ!」
「君に指図される謂われはないよ」

吠える獄寺にスルーする雲雀さん。……ハッ……やんちゃなお兄ちゃんとクールな弟…!?なにそれちょうかわいいそんな子供欲しい。

私が自分の脳内変換で和んでいたら、いつの間にやら雲雀さんは私のすぐ隣にまで迫ってきていた。
気持ちキラキラを飛ばしながら、ハンバーグを凝視している。ああ、そういえば雲雀さんの好きな食べ物ってハンバーグだったっけ。


私の頭上でぎゃーぎゃー喧嘩を始めた獄寺と雲雀さんに、犬猿の仲ならぬ犬猫の仲だな、と苦笑。
全国の兄弟姉妹持ちのお母さんはこんな気分なのだろうかと、微笑ましさ半分めんどくささ半分の気持ちでため息をつきながらハンバーグをひっくり返した。

うん、いい色。


ふと時計を見てみれば、もうすぐ6時だった。
ツナたちもうすぐ来るなあ、早くしなきゃ。

火を弱火にして、フライパンのふたを閉める。これでよし、っと。
未だに頭上でぎゃんぎゃん言い合ってた雲雀さんと獄寺は案外相性良いんじゃないかと考えながら、パン!と手を叩いた。
一拍あけて、2人は口を閉じる。

「お皿運ぶの手伝ってね、獄寺。雲雀さんもついでによろしくお願いします」
「あ、ああ」
「……今回だけだからね」
「てめえは何でそう偉そうなんだ!」
「僕がどういう態度取ろうと僕の勝手だよ」
「いいから早くしてくれ」

呆れ混じりのため息を付けば、2人は同時に舌打ちをしてから手伝いを始めてくれた。
言われるより前に手を洗うなんて雲雀さんさすがだなあ、当然だけど!


そして、6時……の5分前に、ぴんぽーんとインターフォンが鳴った。本日3度目である。
十代目っ!と瞳を輝かせる獄寺はやっと普通の獄寺に見えて、なんとなく安心する。
そんな獄寺にはうっかり忘れていた座布団の用意をお願いし、私は玄関へと向かって、鍵とドアを開けた。
3度目の正直とばかりに、そこには山本とツナとリボーン、3人の姿。軽く笑みを浮かべてから、3人があがれるよう1歩後ろに下がった。

「いらっしゃい。ちょうど用意出来たとこなんだ」
「そうなんだ!えっと、お邪魔します」
「良い匂いすんのなー。お邪魔しまっす」
「邪魔するぞ。……ああそうだ、光」
「雲雀さんならもう来てるよ」
「そうか」

ニンッと笑うリボーンにもう何も言う気にならない。
その会話を聞いていたツナが、靴脱ぎかけの格好でフリーズした。

「ひ、雲雀さん…来てんの?」
「え?うん。その革靴、雲雀さんのだよ」
「ははっ!雲雀も一緒に晩ご飯食べるのか?」
「そうみたいだねーどっかの赤ん坊のせいでねー」
「おかげと言って欲しいな」
「ははは言えるわけねーわ」

雲雀さんといるときの緊張感半端無いんだからな!そこんとこわかってんのかなリボーンは!

とにかく3人とリビングに行けば、今にもバトルをおっぱじめそうな臨戦態勢の雲雀さんと獄寺が、テーブルを挟んで睨み合っていた。
その手には、ダイナマイトとトンファー。

「あっこんばんは!十代目にリボーンさん!」
「俺もいるんだけどなあ」
「てめえは帰れすぐ帰れ」
「嫌なのなー」
「取り敢えずまずは雲雀の野郎を果たしますんで、ちょっと待っててください!」
「じゃねえよ」

思わず投げた、リモコン(テレビ用)とリモコン(エアコン用)。
テレビ用のリモコンは獄寺の額にクリティカルヒット、エアコン用のリモコンは雲雀さんにキャッチされた。……やるな雲雀さん…!

「暴れるなら外でどーぞ。その場合ご飯はいらないものと見なしますが」
「一時休戦にしてあげるよ、獄寺隼人」
「仕方ねえから今は見逃してやらあ」

……この子たち、やっぱりホントは相性良いんじゃない?

 
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