京子ちゃんと花が料理出来る側の人間で良かった、とつくづく思った晩ご飯の調理タイム。
男子は基本、薪係みたいな。獄寺と山本とツナは火ぃ見ててね！その間に作ってくるから！みたいな。
おかげで美味しいカレーが食べられました。
あっでもツナ達もレタス千切ったりしたよ、一応。トマトのへた取ったりね。
そして各自シャワーを浴びて、現在の時刻は夜の８時半。
鬱蒼と生い茂る森の前に集まって、肝試しのルールを話しながら先生たちが点呼しているのをどこか遠いところで聞いていた。
「なんだかワクワクするね、五十嵐さん！」
「え、まじで？笹川さん意外とタフな感じですか。私は帰りたい気分でいっぱいだよ」
「もちろん私も怖いけど、でもみんなと一緒だから、大丈夫だよっ」
天使や……。
大丈夫だよっ、の言葉と同時にキュッと両手を握られて心拍数上昇した。私がツナだったら鼻血出して気絶したんじゃないかな！
そんなところから羨ましそうにこっちを見たって同性特権には敵わないぜ綱吉君！
「……ありがとう笹川さん。そうだね、みんないれば大丈夫だよね。おばけなんて嘘だよね」
「うんっ！あ、ねぇ五十嵐さん。笹川さんじゃなくて京子って名前で呼んでもらえないかな？私も光ちゃんって呼んでいい？」
「是非とも！」
「あ、じゃあ私も光って呼んでいい？私も花でいいから」
「是非とも！」
花と京子ちゃんから名前呼びＯＫ頂きましたー！
ちょっと照れながら「じゃあ、花、京子ちゃん」って呼んだら、２人ともにこーって笑ってくれた。
あああ何で私男じゃないんだろう男だったら今すぐ求婚するのになあ！いやでも女だからこそ今こうやって仲良くできるんだから女の方がいいのか…そこが問題だ……。
「光！くじ引き、光の番なのなー」
「おおう山本、いきなり乗っからないで」
「心臓３回転したか？」
「２回転くらい」
「ははっ！じゃあ次は３回転目指すぜ！」
フィギュアスケートの話みたいになってるぞ。
肝試しのチームを決めるくじ引きの箱を持った山本にのしかかられて、身体がぐいーんと前に倒れる。ちょっ腰折れたらどうすんだ。
そして最近山本のフレンドリーさが輪をかけて素敵なことになってるんで、心臓保ちそうにないんですけど……３回転なんか目指さないでください。
やっぱり私と山本は仲が良いと笑いながら、京子ちゃんと花が山本の持っている箱からくじを引く。
ほい、と箱を差し出されて、私もくじを引いた。
「光、何番だった？」
「ツナは？」
「俺は６番。獄寺君は１番だって」
「お側でお守りすることが出来なくて申し訳ありません十代目！！」
「いやいいよ……気にしなくて」
むしろラッキーって顔に書いてあるよ、ツナ。
てかトップバッターじゃなくて良かったね。んで獄寺がトップバッターか……。
２つに折り畳まれた紙を開いて、私も番号を確認する。
「……げ、１番」
「ゲとは何だゲとは」
「２通りの意味で」
「もっかい果たすぞてめえ！」
もっかいってまだ１回も果たされたことないっつーの。昼前のはギリギリセーフだったし。
んじゃあツナと山本と京子ちゃんと花は誰とペアなのかなーってチームの発表を待つ。
係の子が読み上げた番号ごとに前に出て行って、ろうそくをもらっていった。
それを見ていると、どうやらツナは他のクラスメイト(しかも男子)と２人組になっている。うわあ…どんまいすぎる…！
他は、花と山本がチーム。京子ちゃんも他の男子とチームになっていた。
私の勘は外れたかあ。
「おい光」
「何ー」
「さっさと終わらせて十代目の補佐に回るぞ！」
「まじで？いやいいんじゃない、そんな気にしなくても。たまにはツナも平穏に過ごしたいって」
「てめえそれでもボンゴレか！もしも十代目とチームの奴が十代目を放って逃げていったりしたらどうすんだ！」
だから私はいつボンゴレファミリー入りしたのかと。
あとチームの子ほっぽって逃げちゃうのはどっちかっていうとパニクったツナの方だと思う。そして迷子になると見た！
「……うんまあわかったよ。ところでルートはどんなんなの」
「本当にわかったのか？…ほらよ」
さっき係の子にもらったらしい地図を手渡され、それを見た私の顔はサァッと真っ青に染まった。気がした。
スタート、ろうそくの明かりのみで山道を進んで、お堂？に置いてある花を一輪取って紙に名前を書き、今度は別ルートを通ってこっちに戻ってきたら終わり。
花と名前を書いてなかった人には罰ゲームだとか。
いやなにこのおどろおどろしいお堂……写真で見るだけでも超怖いんだけどなにこれ有り得ない。
日本系のホラーは苦手なんだよう！
「じゃあ１番の人から行ってくださーい」
「っし、だりーが十代目の為にさっさと終わらせるぞ光！」
「お、おおう…！」
山本、もう心臓３回転どころか５、６回転くらいしちゃったよ。
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