「山!だね!」
「それは喜んでるの?怒ってるの?」
「めんどくて上がらないテンションを無理矢理上げようと頑張ってるの」
「そっか……頑張ってね」
「なんかツナの視線が冷たい」

バスでぶんぶん進んで、辿り着いた並盛山。
そのバスの中でも懐かしのベタなゲームたちをいろいろやりまして(イントロクイズとか)、いやまあ私はぶっちゃけ爆睡してたんで知らないんですが、なかなかに盛り上がったようです。
中学生のテンションまじ羨ましい。もう私、気持ち的にはおばちゃんみたいなもんだから……ついていけないのよね……!

それにツナは京子ちゃんが同じ班だからか、さっきからそわそわしっぱなし。
でもそれさえも可愛いんだからツナってば罪な男だわ…もふもふしたい。

「まずはキャンプ場でテント建てるんだってよ!行こうぜ」
「山本も元気だねえ」
「ははっそうか?でもこういうのってテンション上がらね?」

あ、うん、今の君の笑顔でテンション上がった。ちょう上がった。

「うん、上がる!」
「だよなっ!」
「さっきまでぶつくさ言ってた奴がよく言うぜ」
「偉そうなこと言うのはどの口かなー?」

ケッと一笑に付されたのがむかついたので、取り敢えず獄寺のほっぺを極限までのばしてみる。
いへぇいへぇ!とか言ってる獄寺まじ笑えるんですけどー!ざまぁ!
山本と2人して笑ってたら、一足先に進んでいたツナと京子ちゃんと花が戻ってきた。あまりに私たちが遅かったからか。それはすみませんでしたうちの獄寺が……!

「あははっ!獄寺君と五十嵐さんって仲良しなんだね」
「え、そう?」
「いんにゃ、光は獄寺より俺と仲良しなのなー」
「なのなーっ」
「いいはらいいかげん手を離ひやがれ!」
「「何言ってるかわかんないのなー!」」
「てめぇら聞こえてんだろうがぁっ!!果たす!待ちやがれコラァアッ!」
「「わー獄寺が怒ったー!」」
「山本と光、息ぴったりだな……」

山道は思った以上に険しいのに、ノリで、というか獄寺が本気モードの目で追いかけてくるもんだから猛ダッシュで登ってしまった。
隣を走る山本は余裕そうなのに、ごく普通の体力な私はそろそろギブです。死ぬ。
未だにダイナマイト片手に追いかけてくる獄寺は数10m後方。
膝に手をついてぜぇはぁと肩で息をしていたら、数歩先にいた山本がそんな私に気付いたのかこっちに向かってきた。優しいなあ山本……!

「光、バテるの早すぎじゃね?」
「いや、一般人の体力はこんなもんだよ…日頃走ったりしないし……」
「そうなのか?んじゃあ、」

うーんと頭を抱える山本。
私の背後からは「果たす!絶対ェ果たす!!」と鬼……いや修羅か夜叉レベルの顔になった獄寺の声。というか何でそこまでキレてんの君!?

獄寺がどこまで迫ってきてんのか確認しようと後ろを向いた、その瞬間に。

「うおあっ!?」

私の身体が宙に浮いた。

「ちょなっ、なん…っ何してるの山本くん!?」
「俵担ぎ?」
「いやそうじゃなくて!……いや、うん…分かりやすい説明をありがとう……」

山本の肩に私のお腹、背中に片手を回されて、文字通り俵担ぎ。
わー後ろがよく見えるやー。って獄寺すぐそこまで迫ってきてるー!

「俺が光を連れて行けば早いのな」
「重くないですか」
「余裕!」
「じゃあ急いで走って獄寺ダイナマイト投げんなあああ」

山道で、ちゅどーんとダイナマイトの爆発音。
それもまあ山本の瞬発力?脚力?のおかげで回避できたんですけども!

もちろんその後先生に叱られました。
リボーンいないのに何でこんなカオスかつ危ない目に遭ってんだろう。半分くらい自業自得な気もするけど。

 
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