もうすぐ体育祭の時期ですね。学校サボりすぎていつが体育祭なのかわかんないんですけどね。
……後で獄寺に聞いておこう。
今日も元気に学校をサボって晩ご飯の買い出しに出かけた、そんな夕方のある日。
なんか騒がしいなーと思って通りかかった並盛川の河原に目をやってみた、ら。
「わりーツナ!倒れるぞ!!」
「ええ!え!?うわーっ!」
ちょうどツナがダイブトゥリバーしてた。
「っちょ、ばか!」
大急ぎで自転車を止めて、カバンに入れていたタオルを掴み河原へと駆け下りていく。
みんな突然現れた私にびっくりしてたけど、今はそんなことどーでもよくて。
「お、おい光っ」
獄寺が引き留めるのも聞かずに、ばしゃばしゃと川の中に入っていって、ツナの手を引っ張った。
呆然としてるツナは思いの外軽くて、ちゃんと食べてんのかはこっちの台詞だと思いながら引っ張りあげれば、ツナは簡単に立ち上がる。
そのままよろけたツナを抱き留めて、タオルで髪の毛を拭いた。
「ツナ、大丈夫?」
「え、うっうん。でも何で光が……」
「買い物帰りに偶然。ツナが川に落ちてってるからびっくりした」
「ああうん……俺もびっくりだよ」
Tシャツの上に着ていた薄手のシャツをツナの肩にかけて、川から出る。
ぽかんとしたままの獄寺、山本、了平の3人をちらりと見やって、大きくため息をついた。
「山本はともかく、獄寺と笹川先輩は何考えてんですか。棒の上に人が乗ってんのにそれから手を離したらどうなるかなんて分かり切ってることでしょう。
獄寺はツナのこと大切なんでしょ、じゃあ何でそんな簡単にツナのこと忘れて棒から手ぇ離せるの?ツナが怪我したらどうなると思ってんの。右腕ともあろう人が自分のボスに怪我させるなんてことあって良いと思ってんの?
それに笹川先輩も笹川先輩です。確かに獄寺の煙草が自身に悪影響を及ぼす可能性があるのはわかりますが、注意の仕方ってものがあるでしょう。それにわざわざ自分が推した大将であるツナが乗っている棒から手を離すなんて、兵士にあるまじき行動だと思いますが」
「「……すみませんでした…」」
「とりあえず獄寺は後で説教ね!」
「まじかよ……」
「だいたい、まず謝る相手が違う」
にっこり。不自然なまでの笑顔を浮かべれば、了平と獄寺はすぐさまツナに謝りに行った。
それを満足そうに眺めていれば、つんつん、と誰かに肩を叩かれる。
誰かと思えば、山本だった。
「五十嵐って、偶然通りかかったんだよな?」
「え、うん」
「それに今日も学校来てなかったし……にしては全部知ってる風だったけど」
……あ゙。
あっー怒りにまかせてぺらぺらと原作知識を吐露してしまったーっ!
そりゃ不思議に思うよね、それに気付いたのが山本だったのはまったくの予想外だけどね!
「……ほ、ほら…私、勘がいいから……?」
「ん?そーいやそうだな!この前のテストの山勘も五十嵐、全部当たってたもんな!」
「そうそう、そんな感じ」
ありがとう山本。君がテキトーでよかった。
「とにかくツナは早く家に帰らなきゃ。笹川先輩に獄寺!君たちの責任なんだからツナを家まで連れてってあげなよ」
「「は、はい!」」
「五十嵐……ある意味誰よりもボスみたいなのな」
「いやツナ以外にボスはいないって」
すでに気を失ってしまったツナを2人が抱えて、その後ろを私と山本がついて沢田家へ向かう。
おそらく原作通りに、ツナは風邪を引いてしまうのだろうけど。
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