キラキラキラと瞳を輝かせながら、奈々さんが用意した晩ご飯を物凄い勢いでかき込んでいく私。

いやまじなにこれすっげえうっめえ!思わず口調が乱れちゃうね!

尋常じゃない勢いにツナやリボーンもびっくりしたのか、さっきから唖然と私を眺めたまんまだ。手が止まってる。ちなみに獄寺と山本は残念ながら帰ってしまった。
ってかツナもリボーンも、ぼーっとしてると君らの晩ご飯ももらっちゃうぞ!いいよねいいよな答えは聞いてない!

「おかわりいいですかっ!」
「ふふっいいわよ」

奈々さんも機嫌良さそうに、私が差し出したお椀にスープを注いでくれる。お椀いっぱいに入ったスープを受け取ってお礼を言えば、奈々さんはにこりと花のような笑顔を浮かべた。かわいい。

「こんなに元気に食べてくれると、作った甲斐があるわ」
「いやもうすっごく美味しくて箸が止まらないです!こんなに美味しいご飯はじめて!」
「まあうれしい!」

ぱああと顔を輝かせた奈々さんは、私の空になったお皿にエビフライを2本追加してくれる。もう一度お礼を言ってそれにかぶりつく。
さくさくの衣とぷりっぷりのエビがたまんない……っ!

天国はここにあったのだ。割と真面目に、本気でそう思う。

「……すごい食べっぷりだな」
「うん、意外……」

隣でツナとリボーンがなんか話してるけど、聞こえないふり。
作れないこともないとは言え、自分で作ったご飯ってなんか味気ないんだよねぇ。
人が作ったご飯なんて久しぶりだ。それに、大勢で囲んだ晩ご飯なんて、本当に久しぶり。

なんだか幸せであったかくて、笑みが溢れた。


――…


幸せいっぱいな晩ご飯タイムも終わり、ごちそうさまっ!と奈々さんに笑顔を向ければ奈々さんも満面の笑みを返してくれた。
最高のお母さんだよなあ、奈々さんって。

奈々さんに頼まれてお風呂を洗いに行ったツナを見送っていれば、リボーンにツナの部屋に行くよう促される。
嫌な予感を感じながらも奈々さんに一言告げてツナの部屋へ向かおうとすれば、リボーンがぴょんっと私の肩に乗ってきた。おおお…重っ!


勝手に入るのも如何なものかと思ったけれど、さっさと入れとリボーンに言われれば逆らえない。心の中で謝りながら、ツナの部屋に再びお邪魔した。
宿題をしたときと同じ場所に座ると、私の正面にリボーンが立って、じっと私を見据えてくる。
何だろう、怪訝に思いながら、首を傾げた。

「五十嵐光、おまえは、何者だ?」

それは、なんとなくの想像はしていた問いかけ。
リボーンの視線は度々感じていたし、いつか言われるんじゃないかなあとは思っていた。

だいたいの返答例は、用意してる。

「沢田君とクラスメイトの一般人、だけど」
「本当に、一般人なのか?」
「少なくとも、スーツを着こなす赤ん坊に違和感を覚えるレベルには一般人だと思うよ」

……いや、この世界では違和感覚えてる人の方が少ないから、私のが変なのか?ううんと腕を組んで首を傾けてみるが、答えは出ない。
個人的にはどう考えても私のが常識人だと思うんだが、いかがだろうか。

なんてことをしていれば、リボーンが銃口を私に向けてきた。それにはさすがに、目を丸くする。
あ、あれっ、敵判断された……とか?

「じゃあ、何で山本が自殺未遂をしたとき、おまえはツナの体操服を落下地点に置いていったんだ?」
「……、」

やっぱりそれも、見られてたんだ。

「ツナが川でハルを助けた時も、おまえ見てただろ」

リボーンって前以外にも目ぇついてんじゃない?
そう思いながら、話し続けるリボーンをじぃと見つめる。

「入ファミリー試験の時には、アホ牛と仲良さそうに話していた」

一拍あけて、リボーンは私に1歩近付いた。

「もう一度聞くぞ。五十嵐光、おまえは何者だ?」
「そう、言われてもなあ……」

うっかり本音が口から滑り出そうになって、きゅっと唇を結ぶ。
少しの間をおいて、ふっと口角を上げてから口を開いた。リボーンは私から、目を逸らさない。

「沢田君なら山本君を死ぬ気で助けるだろうと思ってた。何かをきっかけに沢田君がパンツ一丁で頑張ってたのは知ってたしね、またそうなったら周りに笑われちゃうかなーって思って予防線を張っておいただけだよ。つまり、ただの勘。
 沢田君がハルを助けたときに私が見てたのは、ハルが心配だったから。前日にメールもらってて気になってたんだ、沢田君のおかげで無事だったけどね。
 ランボと話してたのはほんとに偶然。爆発音がするから何かと思って外に出たらあの子がいただけの話。

 だから私は、ほんのちょっと勘が良くてハルやランボと仲良しな、少し沢田君の活躍を聞きかじってるだけの、ごく普通なクラスメイトだよ」

そっとリボーンの銃に手を伸ばして、その銃口を手で包み込む。
ぴくりと震えたリボーンに、頬を緩めた。

「そんな警戒しなくても、私は沢田君に害を与えるつもりなんてこれっぽっちも無いから、安心して」
「……嘘は、言ってねぇみたいだな」

うん、嘘は言ってない。
ハルにツナのことでメールをもらっていたのは事実だし(だからこそあの日、あの場所に行くことが出来たんだから)、ランボと出会ったのもまったくの偶然だ。

リボーンは銃をおろして、私をもう一度見据える。
それは何かを見透かそうとしている視線で、居心地の悪さを感じながらも、私も目を逸らさなかった。……というか、逸らせないわ、この目は。

「おまえの考えてることは読めねーんだ。だが、まあ敵じゃねえことはわかった。悪かったな」
「読め……ない?」
「?ああ」

リボーンの読心術がきかない?……未来とかを知られないため、かな。
まあその方がいいんだけど。リボーンに私の思考読まれたら軽く死ねる。

だって山本可愛いツナ可愛いまじ可愛い2人とも嫁にしたいみたいなことばっかり日常的に考えてるしね。獄寺のデレが見たいとか。
いや…まじで読まれなくて良かった……!

 
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