……あっつー…い。

外で鳴くミンミンゼミがめちゃくちゃうるさい。いやしかし彼らも短い人生を謳歌してるんだからそれくらいは許してやるべきか……でもあの鳴き声は暑さを煽るんだよなあ……。
うだりながら携帯をいじって、今日の日付を再確認。

もうすぐ、夏休みか。


なんだかんだ雲雀さんとは良好な友人関係を築けてるし、ランボともたまに遊ぶしハルからはしょっちゅう連絡が来てもはや大親友状態だ。
クラスメイトとはまったくと言っていいほど関係持ててないけどね!
ツナとはたまーに挨拶する程度の仲だし、ユニット山獄なんて以ての外。

「きりーつ、れーい、ありがとうございましたー」

よっし終礼やっと終わった。
そそくさと、帰るために荷物をまとめだす。

今日は何の用事も無いし、買い物をして家でちょっと凝った晩ご飯でも作るとしよう。
何にしようかな。洋食か和食か……どっちかと言えば和食の気分だから和食にするか。何がいいかな、スーパーで安めのものを買ってそこから考えればいっか。
そんなことを考えながら、カバンを肩にかけて教室の出口へと歩を進める。

「あ、なあ五十嵐!」

けど、聞き覚えのある声に名前を呼ばれたことで、私の足は止まった。
疑問符を浮かべたまま顔だけ振り返れば、山本とばっちり、視線が合う。

……え、今私、山本に呼ばれたの?

混乱気味の頭で、何?と返せば、山本は私のとこまで駆け寄ってくる。
もう残っている生徒はまばらな中で、獄寺とツナもきょとんと山本と私を見つめていた。

「五十嵐って確か頭良かったよな?」
「……?」
「俺この前さ、五十嵐が職員室で先生に、成績は学年1なんだから学校を休むなって説教くらってたの見ちゃったのなー」

……そ、それって確か結構前の話だったはず…だよ、ね?
先生に説教食らったのはツナと初めて会った日だけだよ。いつのこと覚えてんだ山本……。

「えっと……それで?」
「今から3人でツナん家行って宿題すんだけどさ、教えてくれる人が欲しいよなーってツナと話してたんだ。な、五十嵐、暇なら手伝ってくんね?」
「……、」

まじか……。

確かに今日は歴史と数学と理科って、一気に難しいというかめんどい宿題が出てたけど。まさかこんなことになるとは思わなかった。
お願い!と手を合わせて私を見つめる山本があまりにも可愛いので、正直脳内は破裂寸前なんだけど。向こうで不安そうにこっちを見ているツナのこともある。
というか獄寺の視線恐いんですけど。

「もしかして、何か用事あったりすんのか?」
「いや、用事は無いけど」
「じゃあ頼むのな!えーっと……今度お礼に寿司奢るからっ」
「す、……寿司?」

断ろうと思ってた私の耳に届いた、山本の一言。
寿司……寿司、とな?

「おっ、五十嵐、寿司好きなのか?」
「大好き」
「ははっ!じゃあ奢り甲斐があるな!」
「ほんとにいいの……?」
「全然オッケーだぜ!」

それならばと了承すれば、山本は「交渉成立だな!」と笑顔で私の肩を叩いた。
なんか餌付けされたような感じだけど……いやいやそんなことは問題じゃない。好意は受け取ってなんぼだよね!ちゃんとしたギブアンドテイクだし!うん!!

「ツナー!五十嵐、オッケーだって!」
「あ、うんっ、ありがとう五十嵐さん、よろしく!」
「任せて!」

 
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