「おまわりさーん、こっちで不良が女の子に絡んでますー」
『おまえら、何してるんだ!』

テンプレートな感じの負け犬台詞を吐きながら公園を去ってく不良3人。
絡まれていた女の子は、腰が抜けたのか気が緩んだのか、ふっと膝を折って地面にへたり込んだ。
少し逡巡するも、それを放っておくわけにもいかず、近寄って大丈夫かと声をかける。

「はひ……」

後ろ姿だから気づかなかったけど、その言葉で私は固まった。
……今…はひ、って言った?この子。

「あ、あなたがおまわりさんを呼んでくれたんですか?」
「……え、あ、いや、今のはちょっと声真似しただけで……おまわりさんは来てないけど」
「はひ!あれはあなたの声だったんですか!」
「う、うんまあ……ちょっと得意だから」

くるりと私に顔を向けて驚きの表情を浮かべる女の子。もとい、ハル。
それでもありがとございました!とまばゆい笑顔を向けられて、私はなんとも言えない気分でどういたしまして、と返す。
この際どうにでもなれと思うんだけど、いや…なんだ、よくキャラに巡り会うなあ私……。

「あ、立てる?」
「はひ……それが、腰が抜けちゃって……」
「んーそっか。じゃあ、よっ、と」

ハルの片腕を掴んで、腰を支えながら立ち上がらせる。
スカートや足についた砂を軽く払って、ふらりとよろけるハルを負ぶって歩き出した。慌てふためくハルに、へらりと笑みを向ける。

「女の子をこんなとこに座らせたままにはできないしね」

言いながら公園のベンチまで歩き、ゆっくりハルをおろした。ハルはきょとん顔で私を見上げてくる。
そんなハルにもう一度笑ってから、カバンから飴玉を取り出してハルの手の上に置いた。この前ランボにあげたのと同じ種類の飴玉。味はイチゴだけど。

「何か盗られたりしなかった?怪我もない?」
「は、はい」
「そう、良かった」

ふ、と目を細めて微笑めば、ハルの顔がぼぼっと赤く染まる。

……何で?

「あっあの!ハルは三浦ハルと申します!」
「え、はい」
「あなた様のお名前を教えていただいてもよろしいでしょうか!!」

ど、どうしたハル。いったい何が君に起きたんだハル。なんか私を見つめる視線に熱がこもってる気がすんのは気のせいだよねハル。
その視線はツナもしくはリボーンに向けてやってください!

「五十嵐、光です」
「光さんですか!ハルのことはハル!と呼んでくださいっ」

言葉の後ろになんかハートマーク見えたんだけど、気のせいだよね?ハル……。

「じゃあ、ハル」
「はいっ光さん!」
「……いや…何でもない、です」

これは、ツナとハルが会う原作をしっかり見に行かなきゃいけない気がする……!
いやだってなんか、ハル、それは同性に向ける視線じゃないよ!

 
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