前から思ってたんだけどさ、おにぎりって実習で作るほどのもの?
中1とはいえもうちょっと高度なもの作ったっていいんじゃ……私の小学校はオムライスとか作らせてたぞ……?いやまあ楽だしいいけどさあ。

「五十嵐さんはおにぎりの具、何入れた?」
「えっとねー、梅と鮭とおかか」
「私と一緒だわ」
「ほんと?ベタだけど美味しいもんねー」

たまたま同じ班になった京子ちゃんと花。
今まで話したことはなかったけど、フレンドリーに話しかけてくれる2人に感動した。優しいなあ君たち。

ぎゅっぎゅと握り終えたおにぎりをラップで包んで、エプロンとかを入れておいたカバンに入れていれば、京子ちゃんが疑問符を浮かべながらカバンを覗き込んでくる。

「あれ?五十嵐さんは誰かにおにぎりあげないの?」
「うん、自分で食べるよー」

あげてもいいんだけど、あげようとしてたらどうせツナに全部食べられちゃうしね。それなら自分で食べた方が…うん。
しかし京子ちゃんの握ったおにぎりはビアンキの手によってすり替えられるのだと思うと可哀相だなー。いや、気付いてないから問題ないのか?ううん……。

そんなこんなで悩んでいるうちに家庭科実習は終わり、男子におにぎりを持って行くため、女子たちはお皿を両手に教室へと向かいだした。

ふぁあとあくびを抑えながら、私も彼女たちの後ろをついていって様子見。
大半の女子は獄寺と山本にあげたがってるんだろうなあ。皆さん目がハートマーク状態ですし。わかりやすくて何よりです。

「今日は家庭科実習でつくったおにぎりを、男子にくれてやるーっ!」
「オー!!」

すげえテンション。思わず唖然。
獄寺が口にした「変な行事スね」の言葉に、心の中でうんうんと頷いた。その通りだ。

ふと京子ちゃんの方に目線を向けてみれば、ちょうどビアンキがおにぎりをすり替えたところで。
……うっわ、ナイスタイミング。
ひくりと引きつった口元を押さえていたら、ばっちりビアンキと目が合ってしまった。おおう。ビアンキは少しだけ目を丸くするけれど、静かにその場から姿を消す。その素早さはさすがプロというかなんというか。

はっや、と感心してる間に、ツナは京子ちゃんの……というか京子ちゃんの持っているビアンキのおにぎりの元へ。
クラスの約半数の女子は獄寺や山本の元へ。

「カオスだ……」
「?何か言った?五十嵐さん」
「あ、いや、何でも」

なんか頭痛くなってきた。
リアルじゃなかなか起きないであろう状況に頭を抱えてため息をついた、直後。

「食べたら死ぬんだぞー!!」

ツナが、叫んで。
どこかから飛んできた銃弾がツナの額を貫き、ツナは死ぬ気モードになった。

はは……これはこわい。

「死ぬ気でおにぎりを食う!」

ばくばくとすんごい勢いでおにぎりを食べていくツナに、私の分まで食べられたら困ると思って外に出る。
死ぬ気ツナの顔ってなかなか怖いんだよなあ。

「あら貴女、さっきの」
「えっ」
「私の気配に気付くなんて、ただ者じゃないわね。貴女、名前は?」

なんと、廊下にはビアンキがいた。まだ帰ってなかったのか……。

「五十嵐光……です」
「そう、光ね。私はビアンキ。リボーンを取り戻すためにボンゴレ十代目を殺しに来たの」
「そ、そうですか」

そんなぺらぺら喋っていいの?あれっいいの?
困惑する私のことなんて気にも留めずにいろいろ話し続けるビアンキ。美人なのはいいんだけど。
悪い人でも、ないんだけどなあ。

「それで光」
「えっはい!?」
「貴女、この世で一番大切なものは何だと思う?」
「……ええ…」

ぶっちゃけお金だと思うんですけど!
しかしそれを彼女に言ったら120%死亡フラグが立つと見た。それはご遠慮願いたい。というわけで私の答えは1つしかないのな!

「愛、だと思います」
「……気に入ったわ。光、また今度一緒に飲みましょう」
「え、はあ、是非」

そうしてビアンキはすたすたと帰って行った。
おみやげよ、と私にもポイズンクッキングを渡して。

「……どうしよう、これ」

食べるのは無理だと思うんですが。

 
back
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -