BL、性的表現(?)、暴力表現(?)等々を使用しておりますので、大丈夫という方のみ御覧下さい。
これは、ちょっとした遊びだ。
相手と互いの首を締め合う。
少し熱に浮かされつつ、相手の首をぎりぎりまで締める。
自分が締めれば相手もまた、同じように締めて来る。
骨張ってあたたかな固い手。
自分がこの人をあつくさせたのかと考えただけで幸せな気分になれるのだから、どうかしている。
強い力に締め上げられて、自分の頭が本当に働かなくなってしまうんじゃないかという不安。
相手を動かなくしてしまうのではないかという不安。
そして、この人にに自分の命を預けるという安心感。
全てが僕に快感を与えてくれる。
好きになった人が同性だった。
それだけで世間は迫害、好奇心、嫌悪……様々な最低な感情をむけてくる。
なのに、僕らは、さらに外れているのだ。
――僕の恋人は、同性で、その上サディストだ。
僕はもともとは痛いことが好きなわけでもない。彼がしてくれる、……そう考えただけで嬉しすぎて鳥肌がたつのだ。
彼に、何をされても僕は幸せで、嬉しくて。だから、毎回最中はののしられるのだけど、それさえも刺激になってしまう。
流石に、ベルトで思い切り叩かれた時は次の日痛くて歩けなかったから後悔した。
けれど、彼はそんな僕につきっきりで看病してくれた。彼は、いつも忙しくて滅多に会えないから僕は逆に少し得した気分になってしまった。
本当に、彼は優しい。
首を締める、という行為は彼と僕の中で定番となっていた。
命を天秤にかけた、不謹慎な行為なのはわかっている。
だけれど、もう止める事なんてできない。……これもまた、彼の愛と優しさだとわかっているから。
急に彼は首から片手を外した。
どうしたのかと恐る恐る彼の顔を伺う。
(好きだよ)
まだ僕に首を締められていて声には出さないけれど、口パクで伝わる愛の言葉に嬉しさがました。
僕が首から手を放すと、彼も同じように放した。
僕はさっきのことばに応えるように彼にキスをした。
「……僕も大好きだよ」
笑いながら彼に抱き付くと彼はさらに僕の額にキスをした。
彼の首には僕の手のあとが残っていた。
きっと僕の首にも彼の手のあとがのこっているのだろう。
だけど、その跡を見る度に彼を思い出せるのなら悪くはない。
あまり、会えない彼を思い出せるのなら……。
「大好きだよ、にいさん」
「……俺も好きだよ」
タブーなんて何個重ねても構わないから、せめてこの身体に消えないような兄さんの印がのこることを望んで。
僕はまた、彼の首を、締め付けた。
伽藍お題bot(@garanbot)からのお題「彼を思い出せるのならば悪くはない」
首をしめる話が書きたかったのです