▽ 目覚め
「ーーキ…………ラキってば!!」
『……!!あぁ、なんだゼルダか、びっくりしたぁ』
耳元で名前を叫ばれたと同時に飛び起きたラキは、その声の主を見て安堵した。
ラキを見て可愛い顔をムスッとさせているのは、ルームメイトのゼルダだった。
「びっくりしたじゃないわよ!!……全く、今日がなんの日だか覚えてる?」
『えっと……鳥乗りの儀?』
「そうよ!!まさか、忘れてたなんて言わないわよねぇ?」
『そ、そんな事あるわけないじゃない!!ははは……』
「本当かしら………あぁ!!こんな事してる場合じゃないわ!!」
呆れた目を向けていたゼルダだったが、思い出したように行動を始めた。
時間が無いからと急かされる中、ラキは先程見ていた夢を思い出していた。
見知らぬ森の中で自分の名を呼ぶ男の人……あれは一体誰だったのだろうか。
「ラキ!!ぼーっとしてないの!!」
『は、はいっ!!』
身支度をしているうちに、ラキの頭の中から、夢の事は消えていた。
「ほら、ラキ準備出来た?行こっ!!」
『うん!!』
日が昇る清々しい朝の中、二人の少女は学校から飛び出した。
prev / next