忠誠とポリアンサ
お茶は仕事の後に
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軽装にフードの付いたマントを被り剣を携える。それは旅人のようだった。フードから見える顔は女のようだがその軽装から男のようにも見える。ルーウェンを見下げ、体躯のいい対戦相手の男は嗤う。


「お前が相手か」

「はい」

「一捻りにしてやるよ」

「そうですか」

「どうやって勝ち上がったかは知らねぇが、決勝戦で俺と当たったのが運の尽きだ」


ルーウェンは内心ため息をついた。はっきり言うとこういうタイプは苦手だった。勝手に相手の力量を測り優越に浸る。それはよく見てきたことだ。女だからと嘗めてかかり返り討ちにあった男を何人見てきただろう。一人、いや、二人だけ違った。女だからとか見た目で力量を測ったりはしなかった。


「見た目で判断、しないで欲しいですね」

「強いっていいたいのか」

「あなたよりは」


男は笑った。何がおかしいのかルーウェンにはわからない。素直に、直球に、思ったことを言っただけだ。


「さあ、間もなく始まります決勝戦! 準備はよろしいですか?」

「……大丈夫です」

「こっちもいいぜ」

「では、開始です!」


司会者の言葉を皮切りに斧が振り下ろされた。砂埃が舞う寸前、長い金属音が響いた。誰もが男が勝ったと思った。砂埃が止むと、そこにはマントが旗のように靡いているだけだ。男の首に冷たいものが当てられる。


「どっち?」

「何?」

「言うか言わないか聞いてるんですよ? 反逆者さん」

「……何で……知ってやがる」

「この前の通り魔が話してくれました。裏に精通してる輩は違いますね。言うなら連行、言わないのなら……」


刃を先程よりも押し当てる。


「わかりますよね?」

「わかった。降参だ」


男が両手を上げた。
それが合図かのように歓声が響いた。


「決まったぁー! 勝者、ルーウェン・リート!」


それを聞いていたレイニィは笑って思う。騎士が反乱軍なんかに負けるわけない、と。


「負けたら負けたで面白いけど」


声が聞こえたのかはわからない。だが、レイニィはルーウェンが自分を睨んでいるように思えた。


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