忠誠とポリアンサ
騎士の仕事様々な
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ある程度場所を離れ、ルーウェンはエリカとエーデルに謝罪する。


「見苦しい所をお見せしましたね。それに任務を放棄しました。申し訳ありません」

「いや、気にしておらん」

「そうだよ。ルーはちゃんと、仕事したじゃない」

「私の役目はお二方の護衛。放棄したも同じことです」


任務に忠実なのはルーウェンの長所だ。融通も利くし仕事も真面目。何より愛国心に溢れている。あの頃とは大違いだと、エリカは内心に隠す。
そんなルーウェンだが、護衛の時だけは違った。父の記憶を持たず、母は十六の時に無くしたと聞いたのは彼女がマスターガーディアンになった時だ。その時、彼女は言ったのだ。


「あなたを守ることが私の使命なら、この命に替えてもあなたを守る。それをあなたに誓います」


そう言って手の甲にキスを落としたのは、いつの頃だろう。いつでも彼女は、自分以外の命を優先していた。彼女がそうする理由はエリカたちには分からない。もしかすると、いない両親が関係しているのかもしれない。
エリカに映るルーウェンはいつも礼儀正しくて真摯だ。明るい笑みを浮かべるのも、穏やかな笑みを浮かべるのも、命のかからない時だけ。命を預かる場面で融通は利かない。エリカはそれを知っている。だからこそ、どういった態度を取れば良いのかも分かっている。けれど、惚れた弱みなのだろうか。つい優しくしてしまう。


「俺たちも自衛は出来るよ。それに街中だったからさ、ルーウェンが気にする必要はないよ」

「そうだな。お前は仕事をしただけだ」

「……完全に甘やかされてますね。ありがとうございます」


敬礼をしてから上げた顔は、きらきらとした笑顔だった。

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