忠誠とポリアンサ
緑の淡光と刃の光
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レイニィは街を歩いていたところだった。ルーウェンと男のそれを見たのも偶然のこと。
「ちょっとルーウェン」
「レイニィ。どうしました?」
「今の、何?」
「何でしょうね?」
「しらばっくれる気?」
「いえ、本当にわからないんです」
首を傾げて男が去った方を見た。
「何だったのでしょうね」
(これは……新たなライバル出現?)
「レイニィ?」
「何でも無いわ。それより、荷物置いてきたら? それじゃあ仕事、出来ないでしょう?」
「そうですね。では、また寄宿舎で」
「ええ。また」
去り行くルーウェンを見てレイニィも移動した。そして、頬を赤らめた理由を考えた。好きなどではルーウェンでは有り得ることではないだろう。他、と思う。だが思い浮かばない。
「ルーウェンが頬を赤くする理由……理由……」
考えても出てこない。理由は一つ。ルーウェンのことを知らないから。深くは話さないのは自分も同じだ。だが、ルーウェンは名前と年齢以外は教えてはくれない。聞かないから教えてくれないだけかもしれない。けれど、と思う。
「もう少し教えてくれたっていいじゃない」
私は友達と思ってるのに、と声にしないで呟いた。
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