忠誠とポリアンサ
月星祭の準備期間
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噴水広場に位置する舞台の袖にはテントが張られている。レイニィはそこにいた。
「ルーウェン。聞いた?」
「はい。キルと変わってレイニィとって」
「いきなりよねえ。私は別に良かったんだけど」
「騎士長はレイニィにもちゃんと月星祭を楽しんでほしいんですよ」
「それは嬉しいけど……キルはあんたと一緒に司会するの楽しみしてたのよ?」
「え?」
「……うん、二人とも頑張って」
「レイニィ。誰に言っているんですか? それ」
「恋する王子と騎士様によ」
ルーウェンは打ち合わせの準備をしながら首を傾げていた。
レイニィと向かい合わせに座り、ルーウェンは紙を見て言った。
「では、舞台のことですが……」
「参加者の名前を呼ぶのはルーウェン、進行は私、でいいわよね?」
「はい。言いたいこと、よく分かりましたね」
「ルーウェンは苦手でしょ。盛り上げるの」
答える代わりに困ったように笑った。
「楽しいのは好きなんですがね」
「全く。誤解されて損するのはあんたなのよ?」
「分かってます」
「ほんとに分かってるのかしら」
レイニィはぼやく。きつく言うのはルーウェンを心配しているから。ルーウェンは再び、困ったように笑った。
「月星祭、成功するといいわね」
「そうですね」
見合って笑った。
問題もなく、恋人や家族と過ごせますように、と二人は思う。
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