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「あんたが昨日俺の部屋に置いていったのだ。」
「ええ!?」
昨日?
一の部屋について、勉強を始めて…。
あ!そういえば肩こったなーって私が言ったら一がネックレスを外せって言ったんだ。
「外してそのまま置いていった。すぐに連絡しても良かったのだがどうせ今日あんたの家に行くことになっていたしそのままにしていたのだ。」
「よ…良かったあああ。」
ネックレスを握りしめると安心したのか力が抜けて座り込んでしまう。
一も私の前にしゃがみこんだ。
「失くしたと思った時に俺に連絡をすればこんなことにはならなかった。」
「う…はいその通りでございます。」
「失くしたぐらいで俺が怒るとでも思ったのか?」
「思わなかったけど…。」
「何かあったらすぐに俺に言え。平助や総司より先にだ。」
そう言った一の顔が少し赤い。
あれ、もしかして…頼らなかったからヤキモチやいてんの?
一番最初に頼ってほしかったんだ。
「うん。」
「あんたが失くすなんて想定の範囲内だ。」
「ひどっ!」
「失くしたら…またあんたに似合うものを探してやる。」
「え?」
「よく考えればあれは付き合う前に渡した物だったな。せっかくだから何か記念に探していくか?」
「え?え?き…記念って!?」
「…つ…付き合ってから何も渡していなかったからな。あんたはそういうのが好きだろう?」
「っ!!!」
どうしよう、沖田。
ペアリング、夢じゃないかもしれない。
だってお互い顔を真っ赤にしてこんなこと話してる。
「その代わり、午後はテスト勉強のみだ。ゲームもマンガもしばらくはおあずけだ。」
「うん!うん!!!」
「成績が落ちたら没収だぞ。」
「うん!…え、それは無理です!!」
「うるさい。ほら、行くぞ。」
「ま…待ってよ!」
素早く立ち上がり歩き出す一を追いかけるように私も立ち上がってついていった。
朝から不安でいっぱいだったのにそんな気持ちはどこへやら。
―宝物はいずこ?―
(へへ。毎日が宝物だなぁ。)
(何か言ったか?)
(え?ううん。あ!一!ペアリングほしい!ペアリング!!!)
(っ!?きゃ…却下だ!!!)
(えー…欲しかったのにな…。)
(…休みの日しかつけんぞ。)
(きゃーーーーー!!!!デレたあああああ!)
(静かにできないのか!あんたは!!!)
終
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