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私はとりあえず用意されていた朝ご飯を流し込むように食べ、家を飛び出した。
昨日千と待ち合わせしたのは駅前。
駅までの道のりをずっと下を見ながら歩く。
十分もかからないから見つかると良いんだけど…。


「…名前?何してんの?」


下を向いていた私がまず見たのは見覚えのあるカラフルなスニーカー。
そのまま上へ視線をあげていくとやっぱり、平助が立っていた。
その手にはコンビニのから揚げ棒。…似合うね。


「平助!おはよ。平助こそ朝からどうしたの?から揚げ食べて…。」

「俺?親にコンビニ振り込み頼まれてさ。ついでに買っちまった。腹減ったんだもん。」

「ご飯食べてないの?」

「食ったけど?」


…。
神様、彼の背をもう少し伸ばしてあげてください。


「で、お前下向いて歩いてるからさ。何か落としたのか?」

「へーーーーすけえええええ!!!!」

「なななななんだよ!?!?」


勘の良い子!
一人よりも二人だよね、ね?平助!!!

私は平助の肩を揺さぶりながら叫ぶとから揚げ落ちるから!と平助が焦る。
とりあえず平助がから揚げを食べ終わるのを見届けて私は事情を説明した。


「…つまり、一君からのプレゼントを失くしたと。」

「はい。」

「それさ、正直に言えば良いんじゃねえの?一君そんなことで怒らねえって。」

「怒らない…とは思うけど。」


わかってるよ。私だって。
一はそれぐらいじゃ怒らないだろうし(全力で呆れると思うけど)いちいちそんなことで私を嫌いにはならない(それ以上のことたくさんしている)


「失くした?なら探して来い。その小さな脳味噌で思いつく限りの場所を探してからもう一度俺に失くしたと言いに来い。…ぐらいは言いそうだよね。」

「え、一君そんなひどいの?嘘だろ?」

平助の笑いがひきつっているのをスル―しつつ、携帯を取り出す。まだ十時だ。時間はたっぷりある。
私が嫌なんだよ。
一から貰ったプレゼントを失くすなんて。
自分で自分が許せないの。


「私…もう少し探してみる。あるかもしれないし。」

「じゃあ俺も手伝ってやるよ!」

「え?いいの?」

「おう!暇だしな。…あれ?総司じゃね?」


平助が指さした方を見るとコンビニに入ろうとしている沖田がいた。
みんな朝から活動的だね。


「おーーーい!総司!!!」


平助の声に気付いた沖田は一瞬驚いたような顔をして、何か思ったのか嫌そうな表情で私達を見た。おい、どういう意味だ。休みの日に会いたくないってか。それとも何か察したのか。
沖田が来る前に平助が走って向かってしまったから私も後を追う。


「どうしたんだよ、朝から珍しいな。」

「朝ご飯調達しにきたんだけど…二人こそどうしたの。堂々と浮気してるの?」

「んなわけないでしょ!」

「ま、名前ちゃんがそんな器用な事できないのは知ってるけどさ。僕お腹すいてるからまた明日ね。じゃ。」


さっさと話を切り上げようとしている沖田の腕を掴んだのは平助だった。


「なあなあ総司!名前が困ってんだよ。助けてやろうぜ?」

「君、聞いてた?僕お腹がすいてるんだけど…。」

「聞いてた聞いてた!おにぎりとお茶とから揚げ棒買えば歩きながら食えるって!」

「そういう問題じゃ…。」

一人よりも二人、二人よりも三人…そういうことですね!平助さん!!!

「沖田様!おにぎり達は私名前が買ってきます故!!しばらくお待ちをー!!!」

「あ!ちょっと名前ちゃん!…平助。後で覚えておいてよ。」

「え?何を?」

「…。」


ドンマイ沖田。
君はすでに巻き込まれたのだよ。

私は心の中でそう呟き、急いでおにぎりとお茶を買うのだった。




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