■ 

ご飯も食べ終えて平助君の膝の上でうつらうつらして居た娘に布団に行こうと声を掛けると、ととさまがいいと言う娘に鼻の下を伸ばした平助君は、娘を寝かせつけるために隣の部屋へと行ってしまった。

実につまらない。

娘がととさまを好いているのは仕方ない。
それに懐かないよりは、心から安心出来る存在なのは喜ばしいことだ。
だけど、平助くん…娘が可愛いのは分かるけど生まれてから娘ばかりで、私なんか居なくても娘さえ居ればいいんじゃないかってぐらいの溺愛ぶりなのだ。
面白くないと言うか…寂しい。
一人壁際へと座ると背を凭れかからせた。
平助君も娘も居ない空間ががらんとして寂しくて仕方ない。


どのぐらいそうしていたのか、襖が開く音がして我に返り見上げると目を見開いた平助くんと目が合った。

「…なまえ。泣いてんのか?」

「え?」

頬を触ると濡れていて大抵寝かしつけたまま一緒に寝てしまうから、まさか起きてくるとは思わず慌てて涙を拭おうと頬に手を持っていった。

その手を掴まれて、目の前に座った平助君が困惑した顔をして反対の手で頬に流れた涙を拭ってくれた。
困らせたいわけじゃないんだ。
仲の良い二人になんだか疎外感を感じたなんて可笑しな話しなのに…こんな自分の感情に居た堪れなくなって、真っ直ぐ見つめてくる平助君から目を逸らした。

「どうしたんだ?なんで泣いてたんだ?」

「…」

「話してくれねぇとわかんねぇよ。俺に話すんじゃ役不足か?」

「だって…私可笑しいの」

娘と仲の良い夫に嫉妬するなんて。もっと構って欲しいなんて可笑しすぎるじゃない。

「可笑しくてもなまえはなまえだろ。どんななまえでも俺はおまえが好きだ。だから話してくれよ?な?」

「私が居なくても娘が居ればいいんでしょ?」

「は?」

「だって凄い溺愛なんだもん!それに………私には触れてくれない」

「娘が可愛いのはもちろんだけど、なまえあっての娘だろ?だからなまえが一番だ。…そ、それと触れないのは…寝かしつけて毎日寝ちまうだろ?疲れてると思ったら誘えなかったんだよ」

そっぽを向いて赤くなってしまった初な夫が可愛くて、その頬に口を押し付けると目を見開いてこっちを向いたかと思うと、ニカッと笑ってやったなと口にすると、頬やら首筋、額至る所に何度も口付けを落としてきた。

「…んっ」

「…やべぇ。収まらなくなってきた」

そう言うと、恥ずかしそうに着流しを押し上げている股を両手で抑えた。
その仕草がいじらしくて、その手を優しく退けると押し上げている大きくなった男根を取り出した。
久々に見たそれにお腹の奥がきゅんとしてしまう自分は、はしたないだろうか。
そう思いながら、扱いていた手の刺激でうっと声を漏らした平助君にもっと気持ちよくなって欲しいと言う欲が出てきてしまって、口に含んだ。
遠慮がちに鈴口に舌を這わせてから上下に首を振ったり舌先で刺激をしていると、「やばい」と腰を引いた平助君の男根が口から飛び出た。
手を伸ばそうとした私に、早急に帯を取ると晒された胸元に顔を近づけたかと思ったら唇に含まれた突起に背が仰け反ってしまう。

「あ…っ!はぁ…ああん」

「きもひいいは?」

胸への刺激をしたまま、前だけ肌けた着物を取り去ると自分でも濡れて居るのがわかるぐらいの陰裂を何度も指でなぞる刺激で腰が浮いてしまう。

「や、…あっああ」

「やばい、久々過ぎて見てるだけでいっちゃう」

「え…あぁっ!…やだっ…あっ、じゃ、…あぁっ!入れてっ」

そう言って平助君の肩を押すと後ろに寝そべった体に跨って、隆々と立ち上がる男根を手に持つと陰唇に押し当てて一気に腰を落とした。

「あああっ」

「っ!」

久々の刺激に震える体を耐えて、平助君の肩に手を置いて腰を動かすけど、少しの刺激で達しそうになってしまう。

「なまえ、積極的過ぎ」

「…はあっ、だって早く平助君と一つになりたかったんだもん。大好きなの」

「はっ!そんな可愛いこと言ってるとしらねぇからな!俺がどれだけなまえの事好きか教えてや、るっ!」

そう言うやいなや、腰を持たれて下から凄い勢いで突き上げられてしまった。

「やっ…ああっあ!だ、…め、いっいっちゃ…う、あああっ!」

達したのにも関わらず激しく突かれて胸に凭れ掛かると、隣から微かにぐずる声が聞こえた。

「へ、あっ、へいす…けくっん!娘…お、おきちゃった…っ…かもっ!」

「まっ!…でっる!」

そのまま最奥で放たれた精を受け止めながらも素早く抜いて手拭いを押し当てると二人して慌てて着物を着て襖を開けると、布団から飛び出した娘。

顔を見合わせると頬を緩めた私に口付けを落とした平助君の、至極優しく細められた瞳に不安になることなんて無かったんだとやきもちで苦しかった胸が暖かくなった。




(これからは遠慮なしで全力でなまえを愛すからな)
(全力?)
(俺はこんなになまえが好きなのに泣かれちゃ困るからな)
(泣かないもの)
(うそつけ、俺が好きすぎて嫉妬したくせに)
(う、それは…)


―終―


亜希様へ&あとがき→



2/3
 

prev / next

[ back ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -