「ね、これ」
そっと差し出された小袋入りの透明な粒。
「なんだ?これ」
「べっこあめ」
「べっ甲??亀の甲羅でも入ってんのか…??」
違う違う、と否定しそれを自らの口に放りはにかむ。
話を聞くと、どうやら日本の伝統的なキャンディらしい。
砂糖と水で出来た、カラメルみたいなもの、だとか。
俺の故郷では見かけなかったものだ。
「変なものは入ってないから大丈夫だよ、ね、食べてみる?」
再度差し出される"べっこあめ"と呼ばれたそれを受け取ってみた。
成形してあるからとはいえ、亀の甲羅というより琥珀そのものにしか見えない。
俺はそれをポケットに仕舞う。
「食べないの?」
「いーや、食べる」
ぱくりと柔らかい唇にかぶりつく。
ああ、確かに。
「はは、こりゃ甘いな」
「ら…ッ!!ランサー!!!」
「いいじゃねーの、たまにはこういうのも、さ」
俺にとっては飴よりも。
敢えてその事実は胸に仕舞っておいた。
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