私は、ロマニと付き合っている。
どんなロマニも愛しくて、好きあらば抱きしめたいし、抱きしめられたい。
しかし、何故か同時にマーリンにも恋をしてしまった。
それは浮気でもなく、遊びでもなく…
どうにも、私は"ポリアモリー"という性質を少し持っているらしい。
はじめは自覚がなかった。
とあるきっかけで、自らがポリアモリー気質であるということを知った。
…それではその経緯を簡単に回想してみようと思う。
‐‐‐‐
─数時間前───
『はぁ〜い!ダ・ヴィンチちゃんのお悩み相談室コーナー!…神埼ちゃんどうしたの?恋煩い?』
『えっ?あ、うん、まあ…そんな感じなんだけど…』
『ふぅむ。私に相談してきたということは、恋人のロマニには話せない事、なのかな?』
『……はい…』
*
『ははーん、なるほどなるほど?ロマニの事は今まで通り本気で愛しているのに、マーリンのことまで好きになっちゃったのか。で、それは浮気のつもりでもないけど本人に言ったら浮気と思われそうで怖い、と』
『本気で二人とも好きになっちゃってどうしたらいいのかわからなくて…やっぱり他から見たら浮気なのかなって、でも浮気じゃないし、…どうしようだびんちちゃん…』
『んー……、もしかすると、だ。神埼ちゃん、ポリアモリーの気質があるのかもね』
『……ポリアモリー?』
『そ、ポリアモリー。複数愛とも言うね。読んで字のごとく、複数の人を同時に愛する。そういう性質のことさ、一般的にはあまり知られてないかもだが、きっとロマニならわかってくれるさ。このダ・ヴィンチちゃんが保証しよう!』
『…でも相手はマーリン…』
『…あー、そこは…まあ、頑張りたまえ!』
『えええ…』
『自分の性質とうまく折り合いをつけるいいタイミングだ、大変かもしれないが、自分で何とかしてみるといいさ』
『…頑張って、みます』
『その心意気だ!どうしても苦しくなったらまたここにおいで。話なら聞いてあげるからさ』
『ありがとう、だびんちちゃん』
‐‐‐‐‐
以上、回想終わり。
まあ、そういうことだ。
そういうことらしい。
困ったものだなあ、とベッドの上でぼんやりと宙を仰ぐ。
同時に二人の人間──いや、正確には人間ではないのだが──を好きになってしまった、それだけでも大問題なのに、ことマーリンに対する感情が少しおかしい。
どうにも素直になれないというか、素直に愛することができないというか。
虐げざるを得ないというか、好きなんだけど冷たくあしらざるを得ないというか。
自分でもよくわからないのだが、それでも愛している、らしい。
ううん、ますますわからない。
だびんちちゃんに相談したり、あれこれ考えたり。
なんだか少し疲れてしまった。ちょっとだけ眠い。
少し、寝よう。
寝たら少しはスッキリするかもしれない。
多分。
私はそのまま心地好い微睡みに身を任せ、夢の世界へと堕ちていった。
2/20
ロマニにべったりしたりマーリンをどついたりする同時恋愛シリーズ始動。
気分で追加します。
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