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「うーーー…びっちゃびちゃだよ…」

「全く…日本の梅雨とやらは煩わしいにも程がある……控えよ…いやほんと控えよ…」

ギルガメッシュと私とで、特に目的もなくおやつを食べたりのんびりしたり、たまには庶民的な休日を過ごそうと街に出掛けていた今日。
ワッフルをかじりながら公園でぼんやりしつつ、ああなんだか雲が暗いな怪しいな、そろそろ帰ろうか、と話をしていたのが数十分前。
私の予想が当たり、雨が降り始めたのが数分前。
私達が教会についたのはまさに今。

二人とも急な雨にうたれつつ教会へ駆け込み、今に至る。
私はもちろんのこと、ギルガメッシュまでびしょ濡れである。柄にもなく意気消沈気味で。
その落ち込んだ姿がちょっと面白いのは秘密だ。


とりあえず身体を拭くべく、脱衣所へ向かった。
ふわふわに乾燥したタオルが気持ちいい。

「ところでさあ」

「…なんだ」

水分を大量に含み、どこかくすんだ金色の髪をかきあげながらこちらを向く。
ぱしゃん、と、背後に水滴が飛んだ。

「ギルは霊体化すればよかったんじゃないの…???」

「………」

ぽたり、ぽたり。
滴る雫が脱衣所に響く。
伏せ気味の金色の睫毛がぴくりと揺れる。

「……!!!」

そして、これでもかと目が見開らかれた。
嫌な、予感。

「何故もっと早く言わぬのだ!!!」

「今思い出したんですぅ!!!」

嗚呼、言わなければよかった。
いつでも真実が全てではないのだ。
肩を揺すられながらそんなことを思う。

「ええいまだるっこしい!貴様も梅雨も何もかもが悪い!!瑠衣!!風呂に入るぞ!!!」

「はいはいは…はい?!えっ??えっ??わ、私も?!」

「無論貴様もだ!!」

その反応は予想していなかった。
ちょっと理屈がわかりません。
いつの間にかギルガメッシュは裸になっていたし、何故か私も服を剥がれつつある。

「えええええ英雄王様お一人でおくつろぎになられ、」

状況が飲み込めず、抵抗はすれど、

「瑠衣」

「…はい……」

低い声でたしなめるように名前を呼ばれてしまえば、私は諦めるしかないのだった。


シャワーで一通り身体を流し、湯槽に浸かる。
ちゃぽんちゃぽんと水面が揺れ、幾分かお湯が溢れ出た。
二人も浸かったのだから、湯槽からお湯が溢れるのも仕方ないというものだろう。

「此方へ寄れ、狭い」

「はぁい」

こいこいと手招きで指示される。
はじめからギルガメッシュに背中を預けるのは如何なものかと思い、湯槽の反対側で膝を抱えようとしていたのだが…。

ギルガメッシュの方へ移動すると、またざぷざぷとお湯が溢れる。
指示通り、ギルガメッシュに背中を預ければ素肌が密着し、否応なくお互いの体温が伝わってきた。

「うむ。悪くない」

「さいですか」

シャワーを浴びたからなのか、他の理由なのか。
どこかお互いの体温がいつもより熱く感じられる。
密着した背中から、とくとくと心臓の音が聞こえてくる。
ぽたりぽたり、と水滴が水面を揺らす。

「……ふぅ」

思わず、ため息。
なんだかとても安心する。
そのまま背中だけではなく、全身をギルガメッシュに預けてしまおうか。
そしたらもっと気持ちよくなれる、そんな気がしたのだ。

しかし何故だろうか。
どうにもどきどきする。
何故だろうか。
身体に熱が灯っていくような。

これはあたたまっているからだけでは、ない、ような。

腕が回り込み、後ろから優しくも力強く抱きしめられ、ひたり、と、濡れた髪が私の頬に張りつく。
熱い吐息がかかり、耳元で低く囁かれる、甘い甘い毒。

「よもや此れだけで済むとは思うまいな…?」

甘い毒は私の頭から腰へと、それら全てを一瞬で溶かてしまったのだった。



7/27
梅雨時に書いて途中放棄してたもの。
続きは消えた()


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