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神崎瑠衣と衛宮士郎は幼なじみだ。


私は深山町に住んでいる。
例の火災でこちら側に移住したものは少なくない…
と、言いたい所なのだが、移住するも何も生存者がただ一人だったらしい。
そんなただ一人の移住者が衛宮士郎、そしてその父親の衛宮切嗣。
私の家の近くには大きなお屋敷があって、そのうちの幽霊屋敷同然のお屋敷に移り住んで来たのが彼ら衛宮親子。

まあ最初の頃は色々とあったのだろう、顔を合わせることも殆ど無かった。


時は過ぎて1994年の4月。
3年生へと進級して、皆さんお待ちかねクラス替えが行われた。
偶然だったのか、必然だったのか。
その近所に越してきた衛宮士郎とクラスが同じになり、またその後の席替えで隣になったのだ。
馴れ初めはそんな単純なことだった。

悪を挫き、弱きを助ける。
幼心にも正義感溢れるその真っ直ぐな少年の生き方に魅力を感じていた。
近所であること、席が隣だったこと。
彼と仲良くなるのにはそう時間が掛からなかった。
まあ小学生なんて大抵そんなものなのだが。

その後、小学校を卒業し、中学、高校へと進学。
これまた偶然か必然か。
進学先の高校が同じなのであった。

高校生になっても私達の交友は崩れることはなく、平和に10年の時を重ねていった。


ここまでが私と衛宮士郎との出会いのきっかけと現在へ至る経過である。


さて。
ここで少し私の話をしようと思う。
私は魔術師の家系に生まれた長女で、兄弟は居ない。
魔術回路も持っているし魔力量も人並み以上。
故に魔術を継承するのが必然だ。
しかし何故どうして、両親は私に魔術を教えてくれることはなかった。

『瑠衣には、平和に暮らして欲しいの』

何度懇願しても、この一点張りであった。
その理由を知ることになったのは高校生になってからだったのだが…。
きっと聖杯戦争に関わってほしくない、そう願っていたのだろう。

ちなみに、両親は元々他の地域で暮らしていたらしいと聞く。
父方の家系がそれなりの魔術家系だったらしいのだが、父は子に魔術を伝える気はないと断言して勘当されたとかなんとか。
父には兄弟があった為神崎家の魔術が根絶することは無かったのでお祖父様もそのまますっぱりと勘当したらしい。
ああ、いや、今やお祖父様と呼ぶ事も許されるのか許されないのか微妙な所ではあるが…

そんなわけで、一般人として冬木市に引っ越し、私が生まれ、私は魔術を教わることもなく成長していった。


幸か不幸か、魔術回路の持ち腐れのド素人として。



身の上話はここでおしまい。
今、私は平和に普通の高校生として生活しています。



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衛宮Side設定


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