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※直球で酷い下品な下ネタを含みます。ご注意下さい※






ばさばさと紙束が積み上がる音がした。

神崎瑠衣はPDAを操作し、アイテムを取り出したのだ。
ここはマイルーム。
誰かの監視も無いのでお宝を広げてやる。

「ッ?!瑠衣?!ソレはなんだ?!」

「エロ本」

「そうではなく!!」

何故か物凄い勢いで慌てだすアーチャー。
未貫通云々抜かしていた割には随分と余裕が無いではないか。
別に私がどこでナニを拾おうと自由だろうに。

「一体どこで手にいれた!」

「迷宮の通路外に落ちてた。通路外はモニターからも認識出来なかったようだから拾ってみた。スキャンしたところ未使用だから安心して」

通路外にはたまに変なものが落ちている。
観測対象外で、かつ異物としてなんとなく存在している数時間も経てば消えてしまうデータの残骸等。
ざっくり言うならゴミ。
今回見つけたのはエロ本でした。

「君は恥じらいというものは無いのか!」

「無いことはない…流石に下着だけ脱がされたときは……」

あのことは忘れまい。
何故下着だけ脱がなければならなかったのか…まあそのことはいい。
今回はアーチャーをいじる為に色々仕込んだのだ。

「で。アーチャーはどんなのが好み?巨乳系?ロリ系?二次元?三次元?…コスプレとか人妻とかまだまだある」

「やめたまえ、やめてくれ…オレにそういったことを求めるのはやめてくれ…」

来た。
予想通り…!!
いくらドンファンといえど年下の女にこんな言葉責め(辱しめとも言う)をされたら戸惑うというもの…!!

「アーチャーならどれで抜く?あ、雑誌じゃなくてAV派?」

「マスター、一旦おちつ」

「あ、それとも私?なんて、」

「………ッ」

あれ?冗談だったのに、あれ?
何故そこで黙る?何故?

「アーチャー…?」

「……話し掛けないでくれ…」

まさかの図星。
なんということだ。
罠を仕掛け、獲物を捕らえたと思ったら自分も一緒にかかってしまった。そんな状況。

正直、流石に、困った。
しかしこれはまたとないアーチャーいじりの機会だ。とことん詰める。
SG摘出を通り越して破壊する勢いで責めてやろう。

「あーちゃ…」

普段は決して発することのないトーンで呼び掛ける。
吐息混じりに顔を近付け、一気に仕掛ける。

「そんなに私のことが好きなの…?」

しゅるり、赤いスカーフを抜き取る。
言われるまでもない。これは挑発だ。
かくいうアーチャーは耳まで赤くなり、僅かに身体を震わせている。
これではまるで私が攻めているようではないか。
…まあ。元よりそのつもりであったし、事実なのだが。

そんなこんなアーチャーに挑発を掛けまくり、迫っていた。
が。

「っわ、わわ」

突然突き飛ばされた。

「君には貞操観念というものがないのか?!そう簡単に異性を誘惑して何人も喰ってきたとでもいうのか?!いや、それはそれで構わない、君の自由だ、だがオレには…オレに、は…」

「…ごめんなさい」

やけに辛そうなアーチャーの顔を見たらこれ以上いじめることなど出来るわけがない。
私だって良心くらいはある。
本気で嫌がるのであれば身を引くことも大切だ。
あと私はビッチじゃない。
断じて男遊び等はしていない。
なんならこのエリクサーを賭けてもいい。

「…わかった。反省するのであれば、今回のことは忘れよう」

はあ、と溜め息を吐き肩を竦める。

「それと、ソレらは片付け…いや、処分するように。メモリの肥やしにしかならないだろうよ」

「ちぇ。折角だから使えばいいのに」

少々気が進まないがアーチャーが言うならと、小言をこぼしつつPDAから削除コマンドを実行。
お宝、ごみ箱行き。

「もったいないなあ…節制が好きなんじゃなかったの?」

「ソレとコレは別だ…はぁ」

安堵か疲れか、どちらかわからないが深い溜め息をつく赤い弓兵。

と、突然あることを思い出す。
ここ月の聖杯戦争(裏だけど)では魔力供給にそういった行為はよく行われる。
そして、その際の精はどこへ行くのか。

実に唐突だが思い出してしまったのだから仕方ない。許してほしい。
ついでに発言することを許してほしい。
NOと言われようと発言するけど。

「生ハメナカ出しセックス」

「???!!!」

先程とは比べ物にならないほど驚くアーチャー。
驚きすぎて完全に身が固まっている。
スタンでも喰らったか?

「サーヴァントとマスターの生ハ…」

「せめて呼称を変えたまえ!!!」

アーチャー復活。
この男、簡単には殺られないだけはある。

「えーと。サーヴァントとマスターの…生の供給で妊娠ってするの?」

「……今のところ、前例は無いようだが」

「そうか、それなら安心だ」

「何がだ?!」

何がって妊娠のリスクですよ。
嫌なわけではないが状況にもよるだろう。
しかしそれはそれで少し寂しいものがある。

今回は、その事については考えないようにしておこう。

「マスター。いや、瑠衣。サーヴァントとしてではなく忠告させてもらおう。君はあまりに恥じらいというものが欠如している。なに、恥じらえとは言わないが少し言葉を選んでだな…」

「アーチャーは私の母親か」

「瑠衣、」

「………かいしょうなし…」


次に仕掛ける時はもっとやり方を変えてみよう。
元々そのつもりは無かったが、何故か興が乗ってしまった。
いっそそのつもりで仕掛けよう。
"その対象"として、もっと見て、向き合ってもらえるように、と。
思っていても手が出ないようだから中々に苦戦しそうだが。

とりあえず、今日は学んだ。
アーチャーに直球な下ネタ的単語はNG。
いざ迫ると弱い。
踏み外すとただのオカン。


心のメモ帳に、そっと書き足した。


P.S. それでも面白いのでまたやりたいと思う(by瑠衣)



7/3
下ネタを真顔で連ねる主を書きたかっただけです大変申し訳ありませんでした


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