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翼を持つ者達の続き
穢れがすぎたのだ。
信仰が薄れた現世では翼持ちの居場所はなかった。
翼を隠し、身を潜め、光は影の中に。
翼持ちとして生きていくには、この世はあまりにも淀んだ世界だった。
ある男が言った。
"翼持ちの翼があれば全ての願いが叶う"
"翼持ちの肉を喰らえば不老不死になれる"
それらは全くの嘘。
しかし彼は虚像を抱き、盲信し、宣った。
人の口に戸は建てられぬ。
虚構は尾を生やし、鰭を得、瞬く間に浸透していった。
翼を持つ者達は捕らえられ、翼をもがれ、生きたまま喰われた。
同胞がそのような扱いを受けた。
その事実を目の当たりにした翼は絶望の色に染まった。
蹂躙された純白の願いは呪いへと代わる。
光の如き翼は闇を抱えた。
己を包む光は闇へと変貌する。
纏う温もりは鉄の匂い。
穢れた翼を持つモノ達は嘆き翼を散らした。
願いの羽根は呪いの羽根となり、生命を奪う。
慟哭の雨は止むことがなかった。
地に堕ちた天使は翼を喪い、血に溺れる。
彼らにとってこの世はあまりにも穢れ過ぎていた。
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欲が全てを変えてゆく