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「あっぢぃ〜…」

「あづいぃ…」

真夏の炎天下。
私達は何故かこんな日に草むしりを押し付けられていた。
最近言峰の人使いが輪をかけて荒くなっている気がする。
ランサー、そして私の生気の無い顔を見れば一目瞭然だろう。

「第一猛暑日ってなんだよふざけてんのか…瑠衣どうにかしてくれよ…」

「いや無理だから…私ただの人間だしランサーのがまだなんかあるでしょ…Iのルーンとかさぁ…」

「んなことに使えるかっつの…あ゛ー…」

猛暑日。サクッと言えば気温が35℃を越えるとそう呼ばれるようになったのだ。
25℃越えは夏日。
30℃越えは真夏日。
そして35℃越えで、猛暑日。
頭がおかしいとしか言えない気温である。
某国では30℃を越えると学校も仕事も休みだと聞いたことがある。
賢明な判断だ。
しかしこの社畜大国にそんなことは通用しない。
そもそも働く働かない以前に気温がおかしい。明らかにおかしい。
ここ日本だよね?

「ランサー…これが終わったらクーラーの効いた部屋でガリガリさん食べよう」

「そいつぁ名案だ、んじゃさっさと済まし…」

「あら。最近の犬は花壇の世話もできるのね。驚きだわ」

蒸した空気に響いた鈴の音のような、そして毒気を隠しきれない、そんな声。

「か…、っ、カレン!?どうしてここに?!」

草をぶちぶち根ごと引き抜く私達を見下ろしていたのは、冷ややかな金の瞳に銀の髪を揺らす修道女。
そう、言峰綺礼の実の娘、カレン・オルテンシアだった。

「どうしてって…依頼があったから来たまでよ。そうでなければこんな…暑い…とこ……ろ」

「っカレン…!!」

急に言葉が不明瞭になったと思った直後。どさり、と音をたててカレンはその場に倒れこんだ。



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波乱の始まり。
ちなみにI<イス>のルーンは氷を表しています。詳しくは検索。

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-雨夜鳥は何の夢を見る-