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「雪村ちょっといいか」
耳に心地よく響く低めでいて艶やかなテノールに雪村と呼ばれた女子生徒は頭上で高く結い上げている髪を揺らし振り向いた。
「はい、何でしょうか?」
鈴を転がしたような可憐な声音に声を掛けた張本人、土方歳三は口を開く。
「すまねえがこれ一緒に国語準備室まで運んでくれ」
そう言い顎で指し示した腕の中の書類に千鶴はああ、と頷き微笑を浮かべた。快く土方の頼みを受けた千鶴は半分下さいと両腕を差し出す。土方は千鶴に書類を渡した。
「重くねえか」
「大丈夫ですよ!」
半ば気遣うような土方の台詞に千鶴は先立って歩き出した。土方はそんな千鶴を見、何を思ったのかおかしそうに笑みを漏らした。
「そうか、なら頼む」
「はい」
千鶴はにこりと微笑みながら頷く。だがその心中は表情と全く真逆で心の準備が未だに出来ていなかった。なにせ全校生徒、特に女子生徒から絶大な人気を誇る土方から直々に頼まれたのだから慌てるのも道理だろう。それに二人きりのこんなところを見られたら何を言われるか、たまったものではない。千鶴はそう考えを巡らせていた。
「着いたぞ」いきなり声がしたので千鶴は驚いてしまいびくりと体を揺らす。考えている内にいつの間にか国語準備室に着いたようだ。恐る恐る声のした方を見遣れば土方が扉を片手で押さえていて。
「すっ、すみません…!」
千鶴は慌てながら中に駆け足で入る。千鶴が入るのを見計らって抱えている書類を受け取るべく片手を差し出した。千鶴は書類を雑にならないようそっと渡す。
「重かっただろう?」
土方の問いかけに千鶴はとんでもないですと首をゆるく振った。
「土方先生のお役に立てたようで嬉しいです」



SSLで甘い土千を書こうと思って書いたんですが途中でへこたれました。
続きは書くかどうか未定です^^▽


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